空き家問題とは?現状やリスク・解決策などをわかりやすく解説します

我が国では少子高齢化が進展している・・・。

昨今では聞きなれた言葉ですが、少子高齢化や人口減少が原因で深刻な事態が身近に迫りつつあります。

それが「空き家問題」です。

「空き家問題」は単なる社会問題であるばかりでなく、今後20年の間に多くの人が直面することになるといわれています。

そこで本記事では「空き家問題」とはどの様な問題なのか、空き家問題の現状や将来のリスク、解決策などをわかりやすく解説したいと思います。

空き家問題とは?

昨今、新聞やテレビ、雑誌などのマスメディアでもたびたび取り上げられる「空き家問題」。

「空き家問題」とは具体的にどの様な問題なのでしょうか。

空き家が問題となるのは大きく分けて2つの側面があります。

ひとつめは少子高齢化が進み、今後空き家が急速に増加することが予想されること。

ふたつめは、空き家の所有者が空き家の管理や活用について様々な問題を抱えていることです。

適切に管理されていない空き家は、景観の悪化や周辺の資産価値の低下、犯罪の温床になる可能性など近隣住民に深刻な被害をもたらす危険性があると共に、行政にも悪影響を及ぼす可能性があります。

また個人にとっても、古来より資産・財産の礎として考えられてきた不動産が、コストばかりがかかって無用で厄介なものになってしまう恐れがあります。

今後誰もが直面する可能性があるのが「空き家問題」なのです。

空き家には4つの種類がある

ひとくちに「空き家」といっても、空き家には様々なタイプがあります。

総務省では空き家を下記の4種類に分類しています。

賃貸用住宅

現在入居者募集中で一時的に空き家になっているものですが、全国の空き家の約半数が賃貸住宅の空き家であるといわれています。

空き家というよりは「空室」と呼ぶのが適切です。

空室の発生はアパート経営の巧拙の問題なので、社会問題とは異なります。

しかし賃貸マーケットの縮小や建物の老朽化などによる影響で、空室は年々増加する傾向にあります。

管理は主に不動産会社が行っています。

売却用住宅

現在売却活動を行っている住宅で、一時的に空き家になっているものです。

売却できれば空き家状態は解消されますが、売れ残ってしまうと空き家のままの状態が長く続くことになります。

不動産会社が管理を行っています。

二次的住宅

普段は使用されていない別荘や週末のみ過ごすセカンドハウスなどが該当します。

長期休暇や週末にのみ使用する住宅なので、「空き家」とはイメージが違います。

管理は所有者が行います。

その他の住宅

上記の3種類以外の空き家です。

本来個人の居住用の住宅であるのに、居住者がなく放置された住宅などが該当します。

空き家問題で最も深刻な事態となっているのが「その他の住宅」の増加です。

つまり、現在社会問題となっている空き家は、「その他の住宅」になります。

管理は本来所有者が行うべきものですが、他の空き家と比べて管理を行う動機が弱い点が問題となります。

空き家問題の現状をデータで紹介

現在国内で「空き家」としてカウントされる家はどれくらいあるのでしょうか?

総務省では5年に一度の割合で全国を対象に「住宅・土地統計調査」を行っています。

そのデータをもとに、空き家の現状をみていきましょう。

空き家率は上昇の一途を辿っている

総務省が発表した最新のデータによると、全国の空き家数は過去10年で89万戸増えて、846万戸、空き家の割合も13.6%と過去最高の水準になっています。

この状況が続けば、近い将来には空き家数は1,000万戸の大台に到達してしまうことが予想されます。

地方だけでなく都市部でも空き家は増加している

住宅市場は人口減少の影響を受けやすいため、市場自体が小さな地方では空き家の増加がより顕著ですが、都市部においても顕在化し始めています。

国土交通省の2018年版首都圏白書によると、直近10年間の空き家増加率は神奈川・千葉・埼玉の3県で51%も増え、東京都でも8%増加しています。

空き家はどうして増えているのか?

空き家が増える原因のひとつには、少子高齢化、人口減少がありますが、原因はそれだけではありません。

この章では空き家が増える原因を考えてみたいと思います。

新築住宅の供給過多

現在国内においては世帯数以上の戸数の住宅があり、社会インフラとしての住宅はすでに満たされているといえます。

それでも毎年多くの新築住宅が建てられている一方で、中古住宅の流通量はまだまだ少なく、新築住宅の新規着工戸数に対する既存住宅の流通量の割合はごくわずかです。

その背景には、古くから国内では新築住宅の人気が高く、日本人は新築偏重の傾向にあることがあります。

これは戦後に日本が復旧していく中で、国策として住宅の新築を後押しする施策がとられていたことに起因し、現在においても新築住宅を建てる方が中古住宅を購入するよりも税制優遇などが受けやすくなっていることにも表れています。

この様に空き家が増える要因のひとつには新築住宅の供給過多が挙げられます。

中古物件の人気が低い

国内での中古住宅の流通量が少ない原因は、既存住宅の人気の低さにあります。

その背景には、中古住宅価格の不透明さや、買い手の品質面、安全性に対する不安が払しょくされないことがあります。

したがって誰も住まなくなった家を売りに出しても買い手が現れず、やがて空き家になってしまうケースが少なくありません。

相続の問題

相続の問題も空き家が増える要因のひとつです。

近年では親が亡くなる頃には子供はすでにマイホームを所有していることが多く、親の家を相続しても相続した家に住むことはあまりありません。

そして売りに出しても、売れ残ってしまうケースがあります。

また、相続の際に親族間でトラブルになってしまうケースもあります。

結果的に相続人全員で共有することになったとしても、将来売却するにあたっては共有者全員の同意が必要になるので、同意が得られずにそのまま空き家として放置されてしまうことになります。

税制の問題

老朽化した家が解体されずにそのまま空き家として残ってしまうのには、固定資産税の問題があります。

空き家は住んでいなくても所有しているだけで毎年固定資産税の支払いが発生しますが、土地の固定資産税は住宅が建っていれば200㎡までの部分について1/6に減額されるという住宅用地の特例があります。

したがって建物を解体して更地にしてしまうと、土地の固定資産税が6倍になってしまいます。

こうしたこともあって、老朽化が進んだ空き家がそのまま放置されることになります。

空き家問題が抱える2つのリスク

実際に空き家問題にはどの様なリスクが潜んでいるのでしょうか?

空き家は所有しているだけで固定資産税の支払いが発生するので、財産とはいえず負債になってしまう恐れがあります。

また単に個人の問題であるばかりでなく、空き家がもたらす社会問題についても知っておく必要があります。

この章では空き家問題が抱える2つのリスクをご紹介します。

外部不経済

「外部不経済」とは、取引の当事者ではない第三者に経済的負担や不利益が及ぶ状況をいいます。

大きくは次の3つがあります。

・景観悪化などの地域への悪影響

メンテナンスが行われずに放置された建物は老朽化が激しくなって倒壊の恐れがあったり、雑草が伸び放題で景観が悪化したり、排水口の詰まりなどが原因で悪臭が発生したりといった問題が発生します。

・犯罪の温床になる

ホームレスの不法侵入や粗大ごみなどの不法投棄、放火、不良のたまり場になるなど、犯罪の温床になる可能性が高まります。

・資産価値の低下

空き家が増える一方で住宅の供給が減らなければ、住宅自体の価値も低下してしまいます。

また景観悪化など周辺環境に与える影響が大きくなると、周辺の不動産の資産価値も下がってしまいます。

機会損失

「機会損失」とは、適切な意思決定を行わないことによって利益を得る機会を失うこと、またはそれによって生じる損失のことをいいます。

最も代表的なのは、放置された古家が残っていることで土地の有効活用の妨げになってしまうことです。

また行政の立場からみても、空き家の状態が長く続くことによって住民税などが減少したり、住宅施策が非効率化したりといった問題にもつながります。

空き家問題を解消する4つの方法とは

ここまで空き家問題の現状や原因、問題点などをご紹介してきましたが、空き家問題を解消するためにはどのような方法があるのでしょうか。

4つの方法をご紹介したいと思います。

空き家対策特別措置法

空き家対策特別措置法は、空き家の放置によって発生する様々なトラブルを解消し、空き家の有効活用や処分を後押しするために2015年5月に全面施行された法律です。

この法律で「特定空き家等」として認定された空き家の所有者に対して、行政は修繕または撤去の指導、勧告、命令を行うことができ、行政から勧告を受けると固定資産税の特例も解除されます。

また場合によっては行政が強制撤去などを行うことも可能になります。

「特定空き家等」の基準は、倒壊の危険性がある住宅、衛生面において悪影響が及ぶと考えられる住宅、管理が行き届いておらず周辺の景観を損ねる住宅、その他周辺の生活環境を著しく乱すと考えられる住宅の4つです。

特定空き家等と認定されないようにするためには、これらの面に配慮してしっかりと管理を行う必要があります。

空き家バンク

空き家バンクは、空き家の所有者と空き家を活用したい人とをマッチングする仕組みで、自治体や自治体から委託された団体によって運営されています。

従来から一部の空き家は不動産会社を介して売買されていましたが、利益が少ないため、営利を目的とする不動産会社は積極的ではありませんでした。

空き家バンクは営利を目的としないので、空き家の活用に向けた取り組みがしやすいのがメリットですが、実際にはこの制度で大きな成果が上がっているとはいえないのが現状です。

空き家管理サービス

NPO法人空家・空地管理センターでは、月額100円で気軽に委託できる「100円管理」や将来自分が住むかもしれない方などに向けた「しっかり管理」の2種類の空き家管理サービスを展開しています。

建物点検からクレームの一時対応、草刈、通風や換気などのメニューもあるので、こうしたサービスを検討してみるのも良いでしょう。

また民間企業でも同様のサービスを行っている企業があるので、近くにこのような会社があるかどうかを調べてみるとよいでしょう。

空き家の売却

空き家は所有し続ける限り、毎年固定資産税が課税されます。

また十分に管理を行わないままに放置し続けると、近隣からのクレームや放火など様々なリスクがあります。

さらに特定空き家等に指定されると固定資産税が6倍になったり、行政による強制撤去(解体費用は所有者が負担)が行われたりする可能性があります。

将来的にも活用する予定がないのであれば、売却してしまうことを検討しましょう。

不動産会社を介して売却するのが一般的な流れですが、どうしても売却するのが困難な様であれば、空き家バンクを活用して0円で売却した事例もあります。

【Q&A】空き家問題トータルコンサルタントとは?

Q:空き家問題の相談先として、空き家問題トータルコンサルタントという資格を持った人がいるそうですが、この資格はどんな資格なのでしょうか?

A:空き家問題トータルコンサルタントとは、空き家問題にトータルで対応できることを目的とした民間資格で、全国空き家アドバイザー協議会が実施する試験に合格した人のことをいいます。

空き家所有者が抱えている相続・仏事・片付けの3つの問題を解決に導くことができるとされています。

まとめ

現在、空き家の増加が大きな社会問題になっていますが、空き家が発生するメカニズムは、核家族化により世帯分離が起きる→居住者の高齢化→入院や死亡→空き家の発生となります。

都市部であっても地方であっても基本的にこのプロセスは変わりません。

都市部であれば転勤や家の老朽化などが原因で、地方であれば交通が不便なことが原因で空き家が発生することもあると思いますが、いったん空き家状態になると、家の経年劣化がますます進行してしまうので、多くの場合そのまま空き家状態が継続することになります。

現在、空き家問題を解消するために国や自治体で様々な施策がとられていますが、どれも十分な効果を発揮しているとはいえません。

空き家対策は、空き家になってから考えてもすでに手遅れなのです。

空き家になる前に活用方法を検討することが、本来の空き家対策です。

人口の急激な減少と高齢化の進展で、今後空き家問題はますます深刻化する恐れがあるにも関わらず、新築住宅の着工件数はそれほど減少していません。

空き家問題を考える上では、空き家を作らないことが最も大切なことになるのではないでしょうか。

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