【改正】瑕疵担保責任と契約不適合責任の違いとは?マンション売買の前に知っておきたい法律知識を解説

2020年4月1日に改正民法が施行されました。

これは約120年ぶりの大改正です。

債権法を中心に多くの規定が変更されました。

中でも不動産業界が注目しているのが瑕疵担保責任です。

民法の改正によって、民法自体から「瑕疵担保」という言葉はなくなりました。

代わって登場したのが「契約不適合」という言葉です。

この瑕疵担保と契約不適合がどの点が同じでどんな点が異なっているか、また他の法律はどうなっているのかについてみていきます。

また、2021年は不動産価格が高止まりしており、高値で売却できる良い市況が続いています。

今のタイミングを狙って不動産を売却しようと考えている人も多いと思うのですが、売却時に絶対にやってはいけないことを知っていますか?

それは、「1~2社程度の不動産会社にだけ、査定を依頼すること」

一般的な商品とは異なり、不動産には決まった価格がありません。査定を依頼した不動産会社によって500万円以上査定額が違うこともあります。

もしあなたが1~2社にだけ不動産査定を依頼して適正価格より低い査定額が提示された場合、本来売れるはずだった金額よりも数百万円安く売りに出してしまう可能性があります。

具体的な事例を挙げてみましょう。あなたが売却予定の不動産の本来の適正価格が「3,000万円」だったとします。

たまたま査定に出した2社の不動産会社の査定額が「2,700万円」と「2,650万円」だった場合、あなたはどう思うでしょう?

適正価格を知らないあなたは、

「なるほど。プロが言うのだから、2,700万円ほどが妥当なのだろう。」

と判断し、2,700万円前後で売りに出すでしょう。

本来であれば3,000万円でも売れた物件を、300万円も安い金額で手放してしまったわけです。高級な車が買えるほどの大金をドブに捨ててしまったわけですね。

「適正価格で売り出すことが大切なのはわかったけど、どうやって適正価格を調べることができるの?」

と疑問に思われますよね。不動産の適正価格を把握する方法は、ずばり「6社以上の不動産会社に査定を依頼すること」です。

1~2社では査定額が偏ってしまうリスクがありますが、6社以上に査定を依頼することで、査定額の偏りを避けて適正価格を把握しやすくなります。

昨今では、条件にあった不動産会社にまとめて見積もりを依頼できる「一括査定サイト」が増えていますが、中でもおすすめなのが大手が運営する下記の3サイトです。

HOME4U(NTTデータグループ)

東証一部上場企業「NTTデータグループ」が運営。全国で厳選された1,500社に査定を依頼できる。全国的に不動産会社と提携しているのでバランスがいい。

すまいValue(大手6社が運営)

東急リバブル、住友不動産、三井のリハウス、小田急不動産、野村の仲介+、三菱地所ハウスネットなどの大手にまとめて査定を依頼できる唯一の一括査定サイト。都心部の不動産査定におすすめ。

イエウール(JASDAQ上場)

JASDAQスタンダード市場上場の「Speee」が運営。チャット形式で査定を依頼できるため、操作方法がかんたんでわかりやすいのが特徴。地方の不動産会社とも豊富に提携している。

当サイトのイチオシは「HOME4U」ですが、HOME4Uだけに査定を依頼すると、査定可能な会社が数社しか出てこない場合があります。

そのため、

といったように、エリアごとに2つの一括査定を併用してみてください。2社を活用することで、確実に適正価格を把握することができますよ。

どの一括査定サイトも上場企業が運営しているため安心ですし、厳選された不動産会社のみと提携しているので悪徳業者に依頼してしまうリスクを回避できます。

査定を依頼したからといって無理な営業などもなく完全に無料で利用できるので、不動産売却で数百万円損しないためにも、ぜひ活用してみて下さい。

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瑕疵担保責任のおさらい

そもそも「瑕疵(かし)」とは、キズのことです。そこから転じてモノの不具合や欠陥を瑕疵と呼びます。

瑕疵担保責任とは売主が負うべき責任のひとつで、引き渡したものに不具合や欠陥があった場合にその責任を負うものです。

不動産の場合はシロアリ被害や雨漏りなど、簡単にはわからないような「隠れた瑕疵」が対象となっていました。

瑕疵担保責任から変わった5つのポイント

瑕疵担保責任から契約不適合責任に変更となったのは、単に言葉が変わっただけではありません。

瑕疵担保責任から要件やその責任の範囲が変更となったのです。

ここでは、主に不動産取引に関して影響がある部分に限定してお話しします。そのポイントは以下の5つです。

  1. 瑕疵が隠れている必要はない
  2. 帰責事由が必要になった
  3. 修補請求ができるようになった
  4. 代金減額請求権が付与された
  5. 損害範囲は履行利益を含む

詳しく解説します。

1.瑕疵が隠れている必要はない

瑕疵担保責任では瑕疵は簡単には見つけられない隠れた瑕疵を対象としていました。

ですから、簡単に見つけられるような不具合は対象外です。

不動産に例えるならば、明らかに傾いている家や、屋根に大きな穴が開いているような場合は、隠れた瑕疵といえません。

ところが、契約不適合責任では不具合が隠れていることは要件ではありません。

具体的には契約書に記載されていたかどうかによって判断されます。

2.帰責事由が必要になった

帰責事由とは、売主にその瑕疵について責任があるかどうかを示しています。

瑕疵担保責任では原則として無過失責任でした。

売主に過失がなくとも瑕疵担保責任を負っていたのです。

これに対して契約不適合責任では、売主の責めに帰すべき事由が必要となります。

とはいえ、減額請求などについては、帰責事由は不要です。

このため、これまで通りの無過失責任となっています。

3.修補請求ができるようになった

瑕疵担保責任では、実務上はともかくとして、法律的には修補請求はできませんでした。

契約不適合責任では、「追完請求」として修補を請求することができるようになりました。

不動産の場合、修理さえすれば住居や店舗として利用できる場合が多くあります。

修補請求が法律に定められたのは、実は画期的なことなのです。

4.代金減額請求権が付与された

修補請求と並んで契約不適合責任で追加された請求権が代金減額請求です。

不具合があったとしても、値引きに応じることで取引が成立することが実務では多くあります。

今回こうした実務が法律に反映されたかたちです。

損害賠償請求しかできなかった瑕疵担保責任よりも選択肢が広がりました。

5.損害範囲は履行利益を含む

損害範囲は履行利益までとなっています。

履行利益とは、「その契約が履行されていれば、その利用や転売などにより発生したであろう利益」のことです。

瑕疵担保責任では信頼利益といって、その損害で実際に発生した損害実費が範囲でした。

このように、瑕疵担保責任よりも契約不適合責任のほうがさまざまな売主の責任が拡大しています。

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民法改正によって他の法律の瑕疵担保責任はどうなったか

民法では「瑕疵」という言葉は廃止されてしまいました。

民法は法律の中でも特に重要なものです。

その影響は他の法律にも及びます。

今回の民法改正によって、他の法律がどのように変更になったかみていきましょう。

今回の民法改正は他の多くの法律にも影響を与えているのです。

  1. 宅地建物取引業法
  2. 商法

ひとつずつ確認していきましょう。

1.宅地建物取引業法

不動産取引で根幹をなす法律、宅地建物取引業法も変更となりました。

「契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任」とやや長い名称となっています。

瑕疵担保責任だったころと同じく、目的物の引渡しの日から2年以上となる特約以外では買主に不利になるような特約をつけることはできません。

2.商法

商業での法規制を定めたものが商法です。

商法にも瑕疵担保といった言葉が使われていました。

これも今回の民法改正にあわせて改正です。

瑕疵という言葉はなくなり、「契約の内容に適合しない」「不適合」といった言葉になります。

不動産業も商業のひとつ。こうした商法の規定も影響を受けることがあるのです。

今でも生きている瑕疵担保3選

民法から瑕疵担保が消えたため、すべての法律から消えたのかと思いきや、瑕疵担保という言葉が今でも生きている法律もあります。

これらの法律は民法改正時にもあわせて改正されていません。

その表す内容も変更されていないのです。

今でも瑕疵担保の考えが生きている法律は次のようになります。

  1. 住宅瑕疵担保履行法
  2. 住宅品質確保法
  3. 消費者契約法

さっそくみていきましょう。

1.住宅瑕疵担保履行法

住宅瑕疵担保履行法は事業者に販売した住宅に瑕疵があった場合に、その修繕や対処を求める法律です。

万一事業者が倒産しても、住宅瑕疵担保責任保険で保護されるようになっています。

この法律は第1条から瑕疵という言葉もでてきますし、そもそも法令の名称から瑕疵担保込みです。

大幅な変更ができなかったため、そのままにされているものと考えられます。

2.住宅品質確保法

いわゆる「品確法」です。

構造耐力上主要な部分の瑕疵や雨水の浸入を防止する部分に瑕疵があった場合には、事業者の責任において修繕することが求められています。

この法律でも瑕疵担保の考え方はしっかり生きているのです。

一部では、瑕疵担保と契約不適合をどのように区別するかの議論もなされていますが、当面はこのままの状態が続きます。

3.消費者契約法

事業者と消費者の契約では、消費者にとって不利な内容の契約をできなくする法律です。

もともとこの法律は知識のある事業者に知識の少ない消費者が不利な契約を締結されないようにする法律。

宅建業法にもよく似た規定があります。この法律でも瑕疵担保の規定は健在です。

基本的な考えは変わらない

ここでは瑕疵担保が残っている法律をみてきました。いずれも民法の特別法に位置づけられる法律群です。

これらの法律では、このまま変わらず瑕疵担保という言葉を使用していると考えられます。

瑕疵担保に対する基本的な考え方は変わっていないのです。

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瑕疵担保=契約不適合対策5選

ここまでは瑕疵担保責任が契約不適合責任に変更されたことによる法律的な側面をみてきました。

これらを実務に落とし込むことが必要です。

瑕疵担保が民法から消えてまだ一年程度。不動産業界でも手探りの状態です。

瑕疵担保責任が契約不適合責任になったことへの対策としては、次の5点が考えられます。

  1. インスペクションで前もって対策
  2. 瑕疵保険
  3. 実務では契約書と重要事項説明書の変更
  4. 契約不適合免責を使うこともできる
  5. まだ大きな問題は起こっていないが

順番にみていきましょう。

1.インスペクションで前もって対策

インスペクションとは建物診断のこと。

専門家に建物をチェックしてもらえば、契約不適合になるような不具合を見つけることができます。

あとはその不具合を直すなり、不具合の内容を告知して価格を調整するなりすればよいのです。

不具合は売主や買主が知らないことが問題となります。

そうならないために建物診断をしてすべてを明らかにするのです。

2.瑕疵保険

瑕疵保険も数を増やしています。

瑕疵保険とは、不具合が発見されて損害が発生した場合にその損失を補填してくれる保険のことです。

この保険に加入するには、事前に先ほどのインスペクションを受けることが要件となる場合もあります。

少々手続きが複雑ですが、万一の際には大きな助けとなる保険です。

3.実務では契約書と重要事項説明書の変更

瑕疵担保責任が契約不適合責任になることは事前にアナウンスされています。

このため、不動産の業界団体では、改正後の民法に対応した契約書や重要事項説明書のサンプルを公開中です

。大手をはじめ多くの不動産業者ではこうした改正に対応しています。

ただ、ひとりで小規模に営業している不動産業者などでは未対応の場合もあるため注意が必要です。

4.契約不適合免責を使うこともできる

中古住宅などでどこに不具合があるのかわからないような物件の場合、「瑕疵担保責任免責」といった特約が結ばれることがありました。

要するに「不具合があっても文句を言わない」特約です。

これは不動産業者が売主で業者以外が買主の場合以外では今でもできる契約となっています。

ただし、改正の趣旨からすると、今後は条件の検討が必要です。

5.まだ大きな問題は起こっていないが

瑕疵担保責任が契約不適合責任になって一年あまり。

今のところ、大きな混乱は起きていません。

現場レベルの書き間違いや古い様式を使用しての間違い、といったレベルです。

ただ、今後大きな問題が発生する可能性もあります。

裁判や調停になるような問題が発生すると、契約書や重要事項説明書の変更を余儀なくされることも。

今後も注意が必要です。

まとめ

瑕疵担保責任の問題に限らず、消費者を保護しようとする大きな動きは明らかです。

今回の改正はどちらかというと、法律が実務にあわせて改正した側面は否定できません。

それでも消費者保護、消費者側の選択肢が増えたことは喜ばしいことです。

法律といえども、社会を無視して成立することはできません。

今後もこうした流れは続くものと予想されます。こうした流れを知っておくだけでも大きなプラスです。

流れに乗り遅れないようにしましょう。

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