建売住宅などの不動産を購入すれば、あなたは資産として不動産を所有することになるわけですが、不動産(いわゆる固定資産)の所有者に対しては、税金が課税されることになります。
また、マイホームを維持するためには、メンテナンス費用や保険料なども、自ら負担する必要が出てくるのです。
『賃貸の時には管理費だけだったけど、今後は自ら管理することになるんだね』
『マイホームに長く住み続けるためには、リフォームも考えなければいけないし』
『でも、一体どんな費用が、いくらぐらいかかるのだろう?』
実は、建売住宅などの一戸建ての維持費は、なんと1,000万円以上に及ぶことも!
もちろん、この金額は戸建てに住み続けた場合のトータルの費用ですが、1,000万の維持費と聞いて、高いと感じた方も多いのではないでしょうか。
今回は、これらの維持費について、何にいくらぐらいかかるものなのか、そして、不動産の種類によって維持費がどれくらい変わってくるのか、建売住宅と注文住宅との維持費の違いについても、ご説明してきます。
建売住宅の維持費を安く節約する方法についてもまとめてありますので、建売住宅を検討されている方は、ぜひとも最後までお読みください!
それでは解説をしていきます。参考にしてください!
もくじ
建売住宅の維持費は何に・いつ・いくらかかる?全てわかりやすく解説
建売住宅などの一戸建てに必要とされる維持費は、租税、メンテナンス費用、保険料、その他の費用の4つに分類できます。
租税
租税は主に、毎年必ず課税される固定資産税と、地域によって課税される都市計画税です。
固定資産税
賃貸物件に住んでいる場合には、その物件の所有者ではなく占有者という立場ですが、いざ建売住宅などの不動産を購入した場合には、固定資産の所有者となります。
そして、毎年1月1日の段階で固定資産を所有しているものに対しては、市町村(23区は都)から固定資産税が課せられることになっています。
建物と土地は別個に課税されますが、税額については、その所有する固定資産の価値(具体的には、土地の公的価格や家屋の時価額から、東京都や各市町村が算定した固定資産評価額)をもとに算出されることになっているため、都心部になればなるほど高額になっていく仕組みです。
なお、固定資産税の基本的な計算方法としては「固定資産税評価額×標準税率(1.4%)」であり、3,000万円の建売住宅を購入した場合、定価のまま計算すれば年間で42万円もの固定資産税がかかることになります。
しかし、実際には、固定資産税評価額は定価よりも安く見積もられることや、経年劣化などで建物の評価額が目減りしていくこと、宅地や木造長期優良住宅などに対する軽減措置が行われることもあり、年間で支払う固定資産税は10~20万円といったところでしょう。
ここで注意すべきなのは、軽減措置に期限がついている場合、その期限が切れた数年後に固定資産税が倍増するという可能性があるということです。
どのような計算で固定資産税が算出されているかについては、固定資産税の納付書などから、しっかりと確認しておくべきでしょう。

都市計画税
都市計画税については、毎年1月1日の段階で「都市計画区域内」に固定資産を所有しているものに対して、市町村(23区は都)から都市計画税が課せられることになっています。
都市計画税の計算方法としては「固定資産税評価額×標準税率(最大0.3%)」であり、固定資産税とは税率が異なります。
都市計画税についても一定の軽減措置がありますが、固定資産税の軽減措置とは異なることは認識しておきましょう。
メンテナンス費用
メンテナンス費用としては、細かい部分の修繕・メンテナンス費と、中古戸建てのリノベーションやバリアフリー化などの大規模な修繕であるリフォーム費用に分けられます。
また、備え付けの家具や家電の買い替えも、メンテナンス費用に分類できるでしょう。
家の修繕・メンテナンス費用
家の修繕に関しては、5年毎程度でシロアリ対策、15年毎程度で外壁の塗装やバルコニー防水、雨どい交換、30年毎程度で屋根のふき替えなどが必要となってくるでしょう。
問題が起きてから修繕をしても良いのでは?と思いがちですが、住宅を長持ちさせるためには、予防を含めたこまめなメンテナンスが必要です。
家のリフォーム費用
万が一、建て替えに近い全面リフォーム工事が考えられる場合には、別途費用が必要です。
そして、リフォームの平均価格は約1,000万円です。
もちろん、この費用は必ず必要となる費用ではなく、2世帯住宅に間取り変更をしたり、全面バリアフリーにすることなどを想定したリフォームをする場合にかかるものですし、その規模によっては数百万円程度の費用で行われる場合もあります。
家具・家電の買い替え
戸建て住宅にもともと備え付けてあった家具や家電の買い替えについては、維持費として見積もっておくべき費用でしょう。
代表的なものでいえば、給湯器やエアコン、システムキッチンのガスコンロ、トイレの便座などですが、エアコンなどは10年毎、給湯器やシステムキッチンのガスコンロなども、調子が悪くなれば買い替える必要が出てくるでしょう。
また、備え付けのクローゼットや収納戸、ドアなどが壊れた場合にも修繕が必要となりますが、これらの傷みは使用頻度にもよりますので、交換時期は様々です。
保険料
保険については、基本的には任意であり、内閣府の試算(2015年度末)によれば、戸建て所有者の火災保険・共済の加入割合は約82%、地震補償ありの保険・共済の加入率は約49%となっています。
火災保険料
火災保険といえども火事のみではなく、火事や災害に対する保険であるため、その加入率は高いものとなっています。
火事以外の災害については取捨選択式となっていることが多く、落雷、破裂・爆発、風災、ひょう災、雪災、水災、水濡れ、外部からの衝突・落下・飛来、集団行動による暴力行為、盗難など多岐に渡りますし、建物に加え、家財補償対象にすることも可能です。
保険料については、火事以外の災害についての、補償を多く付ければ付けるだけ高額になるため、一概にはいえませんが、年間で1万円~高くても3,4万円程度でしょう。
地震保険料
実は、先述した火災保険に含まれる災害の中には、地震は含まれていません。
そして、地震による倒壊・火災・津波によって損害を受けたときに保険金が支払われるものが地震保険ですが、加入率は火災保険よりも低く2軒に1軒であり、昨今の大地震などの経験から、加入者が増加しつつあります。
保険料については、火災保険とは違い若干特殊で、国と保険会社の共同運営となっており、条件が同じであれは、保険料は一律となっています。
火災保険と同じく、年間で1万円~高くても3,4万円程度でしょう。
その他の費用
その他の費用としては、任意ではありますが防犯に対する費用、地域によっては自治会参加費や町内会費などが徴収されます。
ホームセキュリティ導入費用
窃盗などの犯罪予防として、ホームセキュリティを検討されている方もいらっしゃると思いますが、セキュリティ会社に委託する方法もあれば、防犯カメラやセンサーライトなどで自己防衛する方法もあります。
ホームセキュリティの場合はプランにより料金もまちまちですが、初期工事費に加えて月々5,000円~10,000円程度の費用が発生します。
自治会参加費・町内会費
地域によって異なるのが、自治会参加費や町内会費です。
月額1,000円程度のところもあれば、年間で1,000円という地域もあり、様々です。
建売住宅などの戸建てに関してはご近所付き合いも重要となりますので、事前に確認しておくほうが良いでしょう。
建売住宅の維持費にかかる平均金額
それでは、様々な維持費を合計すると、年間でどれほどの維持費がかかるのでしょうか。
また、修繕費の兼ね合いで、維持費が増えやすい築年数は何年目なのでしょうか。
1年間でマイホームにかかる維持費
1年間でマイホームにかかる維持費としては、租税が10~20万円、メンテナンス費用は通年では0円、保険料が1万円~10万円、その他の費用が0円~10万円程度です。
つまり、年間で最安でも10万円、高額になれば40万円程度は必要になります。
維持費が一番かかるのは住み始めて何年目?
維持費がかさむのは、メンテナンス費用が発生する時期ですが、5年周期といってよいでしょう。
5年目にシロアリ対策で10~15万円程度、10年目はシロアリ対策に加えてエアコンやシステムキッチン交換などで5万円程度加算、15年目はシロアリ対策に加えて建物の修繕費として100~300万程度が加算されると考えておくべきでしょう。
高めに見積もって15年間で340万円とすれば、年間平均は20万円程度となりますので、通年でかかる維持費と合算すれば、年間で最低30万円程度、租税や保険料が高ければ60万円程度(毎月3万円~5万円)は見積もり、プールしておくべきでしょう。
建売住宅には何年住み続けられるか?建売住宅の寿命
木造戸建ての法定耐用年数は22年とされていますが、これはあくまでも法律上の耐用年数であり、建物の寿命というわけではありません。
築30年で寿命を迎える戸建ては今や短命といってもよく、平均では40~50年、中には築80年という長寿の戸建ても存在するほどです。
もともと使用されている材質などにもよりますが、昨今ではより高品質な材料や加工、施工技術がなされていることもあり、戸建ての寿命は日々延び続けている上に、日頃のメンテナンス次第ではさらに長く住み続けられるといえるでしょう。
どの住宅に住み続けるのがお得?新築建売住宅・注文住宅・マンション・中古一軒家・賃貸アパートの維持費を比較
続いて、住宅の種別によって、どれくらいの維持費がかかるのか、それぞれ50年間住んだと仮定した場合の維持費について、比較してみましょう。
建売住宅に50年住んだ場合のトータル維持費
建売住宅については、先述した年間平均30万円の維持費が必要と考えれば良いため、おおよそ1,500万円の維持費がかかるといえるでしょう。
注文住宅に50年住んだ場合のトータル維持費
建売住宅よりも、注文住宅のほうが長持ちするという噂がありますが、実際には建売と注文には差はなく、どのような素材が使われ、どのような施工がされているか、そして、メンテナンスをしっかり行っていたかによります。
よって、建売住宅と同じ年間平均30万円の維持費と考え、50年間で1,500万円程度と試算できますが、特殊な素材を使っていたり、特別なオーダーをしていた場合には、維持費はさらに上乗せされるでしょう。
中古一軒家に50年住んだ場合のトータル維持費
中古住宅に関しては、購入時の状態次第で維持費が大きくことなります。
築年数が30年を超えてリフォームやリノベーションありきで購入した場合には、新築戸建てに必要な年間平均30万円の維持費に加え、大規模修繕としてのリフォーム費用が1,000万円ほどかかると試算できます。
よって、50年間で2,500万円程度であると試算ができます。
マンションに50年住んだ場合のトータル維持費
マンションを購入した場合には、建物自体の修繕や、共有部の管理は基本的にマンションの管理組合で行われるため、毎月のローン支払い以外に、管理費と修繕費が徴収されていきます。
特に修繕費に関しては、築年数が長くなるほど高額になりますが、平均的な管理費と修繕費の月額徴収額は2~3万円です。
50年間で考えれば、管理費と修繕費だけで1,000~1,500万円かかる上、租税と家の中(専有部)の修繕、保険料は自己負担となるため、これに上乗せされます。
よって、戸建てよりも維持費は割高となり、50年間で2,000万円~3,000万円と試算できます。
賃貸アパート(マンション)に50年住んだ場合のトータル維持費(賃料)
賃貸の場合、一般的には賃料に将来の修繕費分が含まれていると考えてよく、維持費は不要です。
なお、一生賃貸で過ごした場合の費用については、月の家賃にもよりますが、家賃を10万円(管理費込み)と想定した場合には、更新料や保険料を配慮して、年間130万円程度、50年間で6,500万円程度の費用がかかるといえます。
この場合、5,000万円の予算で建売住宅を購入し、1,500万円の維持費を支払ったのと同等であることがお分かりいただけると思います。
建売住宅の維持費を安く節約する方法
さて、マイホームを長持ちさせるためにも、必ず負担すべき維持費ですが、もちろん、維持費を節約する方法はたくさんあります。
今回は維持費の節約の中でも、有効といえるいくつかの方法をピックアップしていきます。
アフターサービスが充実した業者を選択する
アフターサービスが充実した業者を選ぶことは、維持費節約のために重要です。
万が一、マイホームのどこかに不具合が生じた場合でも、アフターサービスで無償対応してもらえることになります。
裏を返せば、しっかりとしたアフターサービスを行っている施工会社は、それだけ施工に自信があり、問題が発生しづらいといえるのでしょう。
なお、アフターサービスについては、様々な部位に対してそれぞれの補償期間が設定されているため、その内容はしっかりと把握しておかなければなりません。
万が一の際に、保証期間が過ぎていたという事態にならないように注意しましょう。
耐久性に優れた資材を使った物件を選ぶ
戸建てが長持ちするかどうかについては、使用されている素材や加工方法、施工方法が重要な要素となります。
例えば、外壁に使われる素材としての樹脂サイディングボードは、高額ですが耐久性や耐震性が高く、メンテナンスがほぼ不要といわれています。
このように、建売住宅に使われている素材や加工方法、施工方法がどのようなものか確認し、耐久性がどれくらいあるのか下調べしてから購入することも、維持費の節約につながる方法といえます。
補修は迅速に行う
壊れた箇所が無くともメンテナンスは必要ですが、もし壊れた箇所が見つかった場合には放置せず、早めに対処することも家の保全につながります。
修繕をせずに放置しておくことで、より深刻な状況を招く可能性があるのは、人間の病気と同じです。
自分で出来るメンテナンスは自分で行う
修繕は専門家に任せるべきですが、自身で修繕することも可能です。
いわゆるDIY(do it yourself)という方法になります。
外壁のひび割れなどについても、その状態によってはホームセンターに売っている道具などで修繕は可能ですが、専門家でなければ難しい部分もあります。
ネット上の情報などを確認しながら、もし自分でできる修繕があれば自分で行ってもよいでしょう。
保険料は無駄なく選択する
先述のとおり、火災保険には火事以外の災害を取捨選択することで、保険料を安くすることができます。
必要なものは保証をつけ、不要なものはあらかじめ外しておくことで、保険料の節約につながるでしょう。
建売住宅を買うにはいくらかかる?購入費用内訳
ここまでは維持費についてまとめてきましたが、最後に、建売住宅の購入費用内訳について簡単にご説明いたします。
建売住宅の場合には、土地と建物を含む販売価格があらかじめ提示されているため、資産計画が立てやすいといえるのですが、販売価格以外にも諸費用がかかることについては、あらかじめ頭に入れておかなければなりません。
諸費用の内訳としては、印紙代、登記代、ローン関連費用、火災保険料、固定資産税清算金、仲介手数料などですが、物件の販売価格の概ね5~10%の費用が発生すると考えておくとよいでしょう。
まとめ
建売住宅の維持費としては、年間で平均30万程度、50年間で1,500万円程度かかると試算できますが、中古戸建てやマンションよりも維持費は安いといえますし、生涯に渡って賃貸物件を借り続けるよりも割安です。
もちろん、維持費の中には節約可能な費用があるため、自身の管理次第では維持費を抑えることも十分に可能です。
今回の記事で、物件の購入費、諸費用、維持費がはっきりしたというあなた。
ぜひともみなが憧れる、あなただけのマイホームを手に入れてみてはいかがでしょうか。

コメントを残す