マンションを売却することになったときには、不動産屋さんに相談するのが通常です。
しかし、周りにマンションを探している友人や知り合いがいるのであれば、新たに買主を探す必要もないですし、売却がスピーディーに進みそうです。
実際、マンションを友人や知り合いに売却すると以下のようなメリットが期待できます。
- 売却手続きがスムーズに進む
- 手数料や税金(消費税)を節約しやすい
- 契約条件などの取り決めについて話し合いがまとまりやすい
一方で当事者間ですべての手続きを終了させようとすると、契約書類の作成や関連する手続きをすべて自分で行わなければなりません。
今回は、自己所有のマンションを友人や知り合いに売却するときのメリットや注意点について紹介していきます。
「知り合いにマンションを買いたい人がいる」といってすぐに連絡してみるのではなく、まずはこの記事を参考にして、メリット・デメリットを検討してみましょう。
また、また近年の不動産価格の高騰により、現在不動産が高値で売却できる良い市況が続いています。
今のタイミングを狙って不動産を売却しようと考えている人も多いと思うのですが、売却時に絶対にやってはいけないことを知っていますか?
それは、「1~2社程度の不動産会社にだけ、査定を依頼すること」。
一般的な商品とは異なり、不動産には決まった価格がありません。査定を依頼した不動産会社によって500万円以上査定額が違うこともあります。
もしあなたが1~2社にだけ不動産査定を依頼して適正価格より低い査定額が提示された場合、本来売れるはずだった金額よりも数百万円安く売りに出してしまう可能性があります。
具体的な事例を挙げてみましょう。あなたが売却予定の不動産の本来の適正価格が「3,000万円」だったとします。
たまたま査定に出した2社の不動産会社の査定額が「2,700万円」と「2,650万円」だった場合、あなたはどう思うでしょう?
適正価格を知らないあなたは、
「なるほど。プロが言うのだから、2,700万円ほどが妥当なのだろう。」
と判断し、2,700万円前後で売りに出すでしょう。
本来であれば3,000万円でも売れた物件を、300万円も安い金額で手放してしまったわけです。高級な車が買えるほどの大金をドブに捨ててしまったわけですね。
「適正価格で売り出すことが大切なのはわかったけど、どうやって適正価格を調べることができるの?」
と疑問に思われますよね。不動産の適正価格を把握する方法は、ずばり「6社以上の不動産会社に査定を依頼すること」です。
1~2社では査定額が偏ってしまうリスクがありますが、6社以上に査定を依頼することで、査定額の偏りを避けて適正価格を把握しやすくなります。
昨今では、条件にあった不動産会社にまとめて見積もりを依頼できる「一括査定サイト」が増えていますが、中でもおすすめなのが大手が運営する下記の3サイトです。
東証一部上場企業「NTTデータグループ」が運営。全国で厳選された1,500社に査定を依頼できる。全国的に不動産会社と提携しているのでバランスがいい。 東急リバブル、住友不動産、三井のリハウス、小田急不動産、野村の仲介+、三菱地所ハウスネットなどの大手にまとめて査定を依頼できる唯一の一括査定サイト。都心部の不動産査定におすすめ。 JASDAQスタンダード市場上場の「Speee」が運営。チャット形式で査定を依頼できるため、操作方法がかんたんでわかりやすいのが特徴。地方の不動産会社とも豊富に提携している。 |
当サイトのイチオシは「HOME4U」ですが、HOME4Uだけに査定を依頼すると、査定可能な会社が数社しか出てこない場合があります。
そのため、
といったように、エリアごとに2つの一括査定を併用してみてください。2社を活用することで、確実に適正価格を把握することができますよ。
どの一括査定サイトも上場企業が運営しているため安心ですし、厳選された不動産会社のみと提携しているので悪徳業者に依頼してしまうリスクを回避できます。
査定を依頼したからといって無理な営業などもなく完全に無料で利用できるので、不動産売却で数百万円損しないためにも、ぜひ活用してみて下さい。
また、より高値で早期に売却したい方におすすめしたいのが、ソニーグループの「SRE不動産」です。
東証プライムに上場している「SRE不動産」は売却を専門としているため、売主と買主両方から手数料をもらう両手仲介と違い、100%売主側に寄り添った活動をおこなうことで多くのお客様から支持を得ている会社です。
直接来店しなくてもWEB上の売却相談が可能で、ITを活用して精度の高い査定価格を出してもらえます。
不動産売却を考えている方は一括査定サイトと合わせて、ぜひ「SRE不動産」も活用してみてください。
【本記事の監修者】 宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナー 大学卒業後、東証一部上場大手保険代理店へ入社。その後、大手不動産ポータルサイト運営会社へ転職。ITベンチャー企業での経験を経て株式会社Azwayを創業。 「住まい」と「ライフスタイル」に特化したWEBサービスを手掛けている。
もくじ
マンションを友人に売却することはできる?
不動産の売買手続きには、さまざまな不動産のプロが関わって執り行われます。
宅地建物取引士、司法書士、土地家屋調査士、金融機関、ときによっては弁護士や税理士、不動産鑑定士、建築士もプロジェクトに参加して、最適な方法を模索することもあります。
しかし不動産の売買契約自体については、当事者間のみで行うことが可能です。
民法などの法律上の制限はない
不動産売買には、民法、不動産登記法、借地借家法、宅建業法、建築基準法、都市計画法などいろいろな法律が絡んできます。
もっとも民法の契約原則としては、当事者間で合意すれば自由に契約が成立するとされています。
不動産売買契約書や登記申請書類についても、自らの契約のためであれば個人が勝手に作成してはならないという決まりはありません。
手続きには法的な知識や経験が必要ですが、法律上、契約当事者のみで手続きを完了させることについて制限があるわけではないのです。
さまざまなトラブルをどのように対処するか準備しておくべき
では、なぜ不動産取引を行うときにさまざまな専門家の助けを借りることが一般的なのでしょうか。
大きな理由の一つに、取引の内容や条件、不動産の現況調査の内容の評価などが複雑であるために生じるトラブルを回避することが挙げられます。
したがって友人と契約手続きを完了させる場合には、一般的に想定されるトラブルやリスクについてどのように対応すべきなのか、あらかじめ準備しておくことが必要です。
マンションを友人に売却できないケース
個人間での契約は自由という原則はありますが、一方で例外もあります。
それは仲介会社にマンション売却の仲介を依頼した際の契約方法に依ります。
マンションの売却を仲介会社に依頼するときの契約タイプは、3つに分かれます。
この中で専属専任媒介は、ひとつの仲介会社だけと契約が可能で、且つ個人間で売買することが制限されています。
したがって専属専任媒介で契約しているときに買いたいという友人が現れても、売却することはできません。
この場合は仲介会社を通して契約するか、契約を解除した後で友人に売却することになります。
マンションを友人に売却する流れ
では、友人にマンションを売却するにはどのような手順を踏めばよいのでしょうか?
流れと手続きに必要な書類を確認しておきましょう。
マンションを友人に売却する8ステップ
マンションの個人間での売買は、以下のような流れで進みます。
- 売却相場をつかむ
- 資金計画をたてる
- 売却価格を決める
- 資料を準備する
- 内覧・条件交渉をおこなう
- 重要事項説明書・売買契約書を作成する
- 売買契約を結ぶ
- 物件の引き渡し・決済
相場よりかけ離れた金額では売れないため、必ず地域の同じような条件のマンション相場を調べるようにします。
住宅ローン残債を確認し資金プランを立てたら、売却価格を決め具体的な準備に入ります。
通常であれば仲介会社が行ってくれる売買契約書の作成も、自分でおこなわなければいけません。
親しい間柄であると口約束になりがちですが、あとでトラブルの原因となりますので必ず書面に残しておきましょう。
個人間売買での一番のハードルはトラブルの発生です。
引き渡し後にもし欠陥や不具合が見つかった場合は、契約書に沿ってフォローしていくことになりますから事前によく確認が必要です。
マンションを友人に売却するときに必要な書類
マンションの個人間売買で必要となる書類は、主に以下のものです。
- 登記簿謄本
- 固定資産税評価額の証明書
- 公図
- 権利証
- 実印・印鑑証明書
- 領収書
- 本人確認書類
マンションを友人に売却する3つのメリット
売却先が友人や知り合いであるということは、全く知らない人が買主になるときよりも契約手続きがスムーズに進みやすいと言えます。
例えば、以下の点に大きなメリットを感じて友人や知り合いにマンションを売却したいと考えている人も多いと思います。
順に見ていきましょう。
1.売却スケジュールが立てやすい
友人や知り合いが買主候補者として決まっているならば、新しい買主を探す必要がないため、売却から住み替えのスケジュールが立てやすいといえます。
一般的なマンションの売却については、早くて3か月、平均的には6か月の期間がかかります。
この期間の半分以上は買主の探索に費やされるのです。
いったん買主候補者が現れても、現地見学会やその後の契約交渉、ローン審査の結果などによって契約を断念することもあります。
このような場合には、一から買主を探さなければなりません。
初めから友人・知人にマンションを売却すると決まっていれば、その後の手続きはローン審査、契約手続き、登記手続きなどスケジュールの見通しがつきやすいものばかりです。
その結果、売却手続きがスムーズに進みやすいのです。
2.手数料や税金が節約しやすい
マンションの売却には様々な手数料がかかりますが、手数料の中でも多くの部分を占めるのが「売買仲介手数料」です。
不動産の売買仲介手数料の上限は、物件価格の3%プラス6万円(消費税抜)です(物件価格が400万円を超える場合)。
3,000万円の物件価格であれば、105万6,000円(消費税込)の仲介手数料が発生することになります。
また、不動産業者が売主となって新築マンションや中古マンション購入すると建物部分について消費税がかかりますが、個人間の売買では建物部分に消費税がかかりません。
買主にとっては有利な契約となります。
3.契約条件について話し合いでの解決がしやすい
契約の相手方が友人や知り合いであれば、会って話すことも容易ですしアポイントのスケジュールも調整しやすいでしょう。
また、売買契約・引き渡し後に住戸に不具合があった場合でも、話し合いで解決しやすいと思います。
中古マンションを売却するときに最も懸念されるのが、住戸の不具合に関することです。
この点について話し合いで解決することができる点については、友人・知人間で売買することの大きなメリットです。
しかし中には、親しい間柄ゆえに話し合いがこじれてしまうケースもあります。
ビジネスライクではいかないという点が、メリットにもなり、場合によってはデメリットにもなります。
業者と何が違う?マンションを友人に売却するときの注意ポイント4つ
マンションを友人や知り合いに売却することで、上記のメリットをすべて享受しようとすると、以下の点についてすべて当事者で解決する必要があります。
1.契約手続きを自分たちでする必要がある
売買契約について仲介手数料・手数料にかかる消費税を節約するためには、契約手続きについてすべて当事者で完結させる必要があります。
具体的には、以下のような手続きがあります。
- 契約条件についての交渉・合意
- 住宅ローン審査・実行手続き
- 売買契約書の作成・締結手続き
- 不動産登記簿謄本(不動産登記事項証明書)、公図、実測図等不動産書類の整理・引渡
- 鍵の引渡し・引渡証明書の作成
- 不動産登記書類の作成・登記申請・もしくは司法書士への依頼
これらの手続きをもれなく実行するには、経験とノウハウが必要です。
特に買主が住宅ローンを利用する場合には、宅建業者が作成し、説明・押印した重要事項説明書がないとローン審査が通らないことがほとんどです。
したがって多くの場合、不動産会社に仲介業務を依頼することが不可欠なのです。
2.契約不適合責任は売主の大きな責任
契約不適合責任(2020年民法改正・旧:瑕疵担保責任)とは、契約の対象となるマンションに不具合があった場合にマンションの売主が負う責任のことです。
以前は、損害賠償請求や契約の解除ができるのみでしたが、2020年の民法改正によって、瑕疵修補などの詳細な責任が定められ、売主の責任が加重されています。
友人・知人だから、何かあったら話し合いで解決しましょうという取決めをしていても、水回りの錆びや劣化、開口部の摩耗・劣化の度合いによっては、住み心地に重大な影響が生じる場合があるのです。
そのような場合にも円満に解決できるように、想定されるトラブルについては詳細に話し合い契約書に記しておく必要があるでしょう。
3.決済・引渡し手続きがルーズになりがち
契約の相手方が友人や知り合いである場合には、決済・引渡手続きのスケジュールが甘くなることがよくあります。
例えば、引渡日までに引越しが間に合わなかった、ローンの実行が間に合わなかった、引っ越し後に残置物が残っていた、クリーニングがされていないなどです。
契約の相手方が知らない人であれば細心の注意を払うことでも、友人だと粗雑になってしまうことが多いのです。
友人・知人間の取引であっても契約ごとには変わりないのですから、礼節をもって取り組むべきです。
4.その後の友人関係に影響が出る可能性
マンション売買に限らず親しい間柄でのビジネスは、良いときは良いですが、一旦ネガティブな状況に陥ると両者の関係性にひびが入りやすいものです。
特に毎日生活するマンションの売買となれば、その影響は大きくなります。
売主は些細なことと思っていても、買主にとっては重大な出来事かもしれません。
親しいが故になかなか言い出せなかったり、反対に大きなトラブルに発展するケースもあり、一旦こじれた関係は簡単には元に戻りません。
友人間での個人売買はこうしたリスクを含んでいることを頭に入れておかなければなりません。
マンションを友人に売却する時のトラブル回避方法3ヶ条
友人や知り合いとのこれまでの関係を壊さないためにも、不要なトラブルは避けたいものです。
トラブルを回避するためにも、以下の点は一度検討しておいた方がよいでしょう。
1.不動産仲介会社には入ってもらうべき
不動産の売買契約は今までに蓄積されたさまざまな専門的知識と技術・ノウハウの結晶です。
仲介手数料・消費税が節約できるというメリットは失われますが、できる限り不動産仲介会社には入ってもらったほうが良いでしょう。
買主を自分で見つける必要がないために、中には仲介手数料の割引に応じてもらえることもあるかもしれません。
経験豊富な不動産仲介会社は、マンションの売買についてどこがトラブルになりやすいのかについて知っていますし、取引関係の契約書類のひな形やさまざまな書式のストックがあります。
また、仲介に入ってもらうことで、不動産会社には宅建業法上の仲介責任(媒介責任)が生じ、情報の誤りや不十分な契約説明について行政処分を伴う重い責任を負うために、安全な取引が期待できます。
2.インスペクションや瑕疵担保保険の適用を検討する
インスペクションとは、売買時の建物の状況を調査することです。
国土交通省で実施している専門業者認定制度があり、不動産会社や建築事務所に属する不動産の専門家が、建物の劣化具合や現況の建材・建具の状況について調査し調査書を発行してもらえます。
費用は調査内容に依りますが、5万円から10万円程度です。
インスペクションの結果、重大な不具合がないのであれば瑕疵担保保険を適用することができます。
瑕疵担保保険とは、もし売買契約後に不具合が見つかった場合には不具合の修補費用について保険で賄うことができる制度です。
保険加入には、数万円の保険料がかかります。
インスペクションの依頼と瑕疵担保保険への加入をすることで、買主である友人や知り合いに対して、誠実に売買契約に取り組んでいる姿勢をあらわすことができるでしょう。
3.特にお金の面については通常の取引よりも気をつける
知人や知り合いと不動産の取引をするときには、お金のトラブルについては特に気を付けましょう。
不動産売買は高額な取引になりがちで、少しのミスが数百万円、数千万円の支払い遅延に発展することになります。
また、印紙税や融資手数料などの費用がかかってくることに、後から気づくこともあります。
少額でもお金の問題は大きなトラブルになりやすいものです。
予算を多めに設定しておく、「諸費用」名目で費用をとっておくなど、費用面ではバッファを用意しておきましょう。
まとめ
マンションの売買を友人や知り合いと行うと、スケジュール決めや条件の取り決めがしやすく、契約がスムーズに進むケースが多いと思います。
しかし契約の相手方が友人・知人であるからこそ、トラブルもつきものです。
気持ちよく取引をおこなって、売買契約後も良好な関係を継続したいところです。
そのためには、本記事で紹介したような注意点について検討し、トラブルを事前に回避する準備をおこなっておくことをお勧めします。
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