自己所有のマンションを売却するなら、できるだけ高値で売りたいというのが本音でしょう。
しかし、何も知らずに自宅を売却してしまうと後から損をしてしまうのではないかと不安に思っている人も多いと思います。
実は、マンションを高値で売るためには「売却するタイミング」が重要になってくるのです。
その理由は主に以下のようなことが、売却価格や売却後の手残りの価額に影響してくるからです。
- 不動産市況や季節要因
- マンションの大規模修繕の時期
- 築年数
- 住宅ローンの残債額や税制
適切なタイミングでマンションの売出しをスタートさせることが、マンションを高値で売却する秘訣です。
このコラムでは、「マンションを売却する最も良いタイミングはいつか」ということについて解説しています。
マンションの売却を考えている方は是非参考にしてみてください。
また、2021年は不動産価格が高止まりしており、高値で売却できる良い市況が続いています。
今のタイミングを狙って不動産を売却しようと考えている人も多いと思うのですが、売却時に絶対にやってはいけないことを知っていますか?
それは、「1~2社程度の不動産会社にだけ、査定を依頼すること」。
一般的な商品とは異なり、不動産には決まった価格がありません。査定を依頼した不動産会社によって500万円以上査定額が違うこともあります。
もしあなたが1~2社にだけ不動産査定を依頼して適正価格より低い査定額が提示された場合、本来売れるはずだった金額よりも数百万円安く売りに出してしまう可能性があります。
具体的な事例を挙げてみましょう。あなたが売却予定の不動産の本来の適正価格が「3,000万円」だったとします。
たまたま査定に出した2社の不動産会社の査定額が「2,700万円」と「2,650万円」だった場合、あなたはどう思うでしょう?
適正価格を知らないあなたは、
「なるほど。プロが言うのだから、2,700万円ほどが妥当なのだろう。」
と判断し、2,700万円前後で売りに出すでしょう。
本来であれば3,000万円でも売れた物件を、300万円も安い金額で手放してしまったわけです。高級な車が買えるほどの大金をドブに捨ててしまったわけですね。
「適正価格で売り出すことが大切なのはわかったけど、どうやって適正価格を調べることができるの?」
と疑問に思われますよね。不動産の適正価格を把握する方法は、ずばり「6社以上の不動産会社に査定を依頼すること」です。
1~2社では査定額が偏ってしまうリスクがありますが、6社以上に査定を依頼することで、査定額の偏りを避けて適正価格を把握しやすくなります。
昨今では、条件にあった不動産会社にまとめて見積もりを依頼できる「一括査定サイト」が増えていますが、中でもおすすめなのが大手が運営する下記の3サイトです。
東証一部上場企業「NTTデータグループ」が運営。全国で厳選された1,500社に査定を依頼できる。全国的に不動産会社と提携しているのでバランスがいい。 東急リバブル、住友不動産、三井のリハウス、小田急不動産、野村の仲介+、三菱地所ハウスネットなどの大手にまとめて査定を依頼できる唯一の一括査定サイト。都心部の不動産査定におすすめ。 JASDAQスタンダード市場上場の「Speee」が運営。チャット形式で査定を依頼できるため、操作方法がかんたんでわかりやすいのが特徴。地方の不動産会社とも豊富に提携している。 |
当サイトのイチオシは「HOME4U」ですが、HOME4Uだけに査定を依頼すると、査定可能な会社が数社しか出てこない場合があります。
そのため、
といったように、エリアごとに2つの一括査定を併用してみてください。2社を活用することで、確実に適正価格を把握することができますよ。
どの一括査定サイトも上場企業が運営しているため安心ですし、厳選された不動産会社のみと提携しているので悪徳業者に依頼してしまうリスクを回避できます。
査定を依頼したからといって無理な営業などもなく完全に無料で利用できるので、不動産売却で数百万円損しないためにも、ぜひ活用してみて下さい。
なぜ売るタイミングによって値段が変わるの?
マンションは土地および建物の価値によって価格が決まってきます。
マンションが古くなってくると建物の価値が下がってくるのは感覚としてつかめますが、他にもマンションの価格に影響を及ぼすものがあるのです。
不動産市況の変化
経済に好景気、不景気があるように、不動産市況も上がったり下がったりします。
不動産市況を動かす原因にはさまざまなものが考えられますが、最も影響するのは、市場に出回っている不動産の数と建築費・工事費の高騰です。
市場に出回っている不動産の数
インターネットで検索してみると、数多くの売却物件があることがわかります。しかし、この売却物件の数は一定ではありません。
経済が不況になると不動産を換価したい人が増えるために、多くの売却物件が売りに出されます。
逆に購入したい人は減るために不動産の価格は下がります。
好景気の時には、特に銀行融資が下りやすくなるために不動産売買が活発に行われる結果、不動産価格は上昇します。
このような不動産市況の上下は、特に都心や市街地の中古マンション市場に大きな影響を与えます。
建築費・工事費の高騰
近年ではオリンピックに向けて多くの都市開発が行われたために、非常に多くの人員と資源が不動産開発に投入されました。
その結果、人不足のために人件費が上昇し、建築費・工事費が高騰しました。
建築費・工事費の高騰は、新築マンションの価格に顕著にあらわれます。
このような状況下では、中古マンションの相場も上昇する傾向にあります。
不動産売買が活発な季節
中古マンションの売買が活発な季節に売却のタイミングを合わせれば、早く購入希望者が見つかる可能性が高くなり、価格交渉で値切られたり売却期間中の広告費が余分にかかったりする心配が少なくなります。
最も不動産売買が活発なのは2月から3月にかけてです。
4月から新しい新生活を始めるために、1月に物件探しをして、2月、3月に契約する人が多いのです。
一方、12月、1月、8月は不動産売買が少なくなる時期です。
年の瀬から新年にかけては出費も多くなるためか、マンションの売買があまり行われなくなります。
また、8月もお盆休みや夏休みで遠出する機会が多くなるために、マンション探しをしようとする方が少なくなります。
このように売却の季節を考えることも価格に影響してくるのです。
周辺環境の変化
長い間同じ場所に住んでいると、周辺環境が変化して、マンションの価格が上下する場合があります。
典型的なのは、周辺に新しい駅ができたことにより、交通の便が良くなった場合です。
ここまでではなくても、駅前の再開発やダイヤ改正により急行が止まるようになったなど、利便性が高まると、マンションの売却にはプラスに働きます。
一方で、周辺に住む人たちが引越しして人口が減少したりすると、街はさびれてきて、マンション価格は築年数以上に下落します。
マンションの老朽化
最後に、ほとんどのマンションの価格に影響してくるのが、マンションの老朽化です。
東京・広尾にあるような「ヴィンテージ・マンション」としてブランド力があるマンションは、価格がそれほど落ちないものもありますが、多くのマンションは築年数が経過していくと価格は落ちていきます。
不動産市況の調べ方3選
不動産の価格に大きな影響を与える不動産市況ですが、具体的にどのような情報を見れば今の不動産市況がわかるのでしょうか。
プロがよく参考にしている指標としては、新築マンションの契約率、オフィスビルの空室率、そして経済状況や法律改正があります。
新築マンションの契約率を見る
新築マンションの契約率は、毎月「不動産経済研究所」から発表されており、ホームページや日経新聞の記事などで確認することができます。
不動産市況の好不況の目安は70%であるといわれています。
販売不振の季節には一時的に70%を切ることはあるのですが、50%から60%の月が続くようであれば、不動産不況だと思って間違いありません。
オフィスビルの空室率を見る
オフィスビルの空室率は大手の賃貸仲介会社が発表しており、インターネットで検索するといくつかのデータが取得できます。
また、日経新聞などの経済ニュースでもしばしば取り上げられますので、注意して探してみるとよいと思います。
オフィスビルの空室率は、都心と名古屋、大阪などの地方では差がありますが、特に都心のオフィスビルの空室率が、3%以下になったときには、不動産市場は過熱気味(上がっている)であると判断されます。
2019年のオフィス空室率は2%台でしたので、相当不動産市況が良かったのですが、2020年に入って空室率は上昇しつづけ、2020年11月現在では、4%を超えています。
不動産市況の変わり目を迎えているといってよい水準です。
経済状況や法律改正を把握する
少し専門的になりますが、経済状況や法律改正によっても、不動産市況が予測できる場合があります。
オリンピックの開催は大きな不動産需要をもたらし、ここ数年不動産市況が高止まりしていたと考えられていますが、今年に入ってコロナウイルスの影響もあって売買が停滞しています。
都心の一部地域では不動産価格が高騰している状況が見られますが、全体的には昨年までの市況の強さは見られません。
また、特に税法などの法律改正によって、不動産の売却案件が増加する場合があります。
現在注目されているのは2024年、生産緑地指定の解除によって固定資産税が上昇する宅地が増えることから、市場に出回る売却案件が増えて、不動産相場が下がるのではないか、という予測があります。
物件ごとに考えるマンションの売り時
これまでは、主に不動産市場全体の動きや流れを見てきましたが、個別のマンションの状況ももちろん売却価格に影響を与えます。
それは、単に古くなるにつれて価格が安くなる、という単純な理由だけではありません。
以下のように、さまざまな要因が売却価格に関わってきます。
大規模修繕とマンションの売り時
大規模修繕が行われる場合には、マンションの修繕積立金が増額されることがあります。
このような場合、修繕積立金の増額分について、毎月のローン返済額に充てることができる資金が減り、融資額が減額されることになります。
その結果、マンション価格が下落する原因になるのです。
また大規模修繕が始まると、壁に足場が組まれたり、工事車両が入ったりして、見た目が悪くなります。
その結果、売却活動に影響が出ることがあります。
できれば、自分が住んでいるマンションの長期修繕計画と管理組合で管理する修繕積立金の額を確認して、今までの修繕で修繕積立金が不足していないか、今後の大規模修繕はいつかなどについて調査しておいた方がいいと思います。
すでに管理組合で修繕積立金の増額が決定されていた場合には、売却時に重要事項説明書に記載しなければなりません。
もし売却を考えているのであれば、大規模修繕の前に売却活動を始めるのが良い選択です。
築年数とマンションの売り時
築年数が経過するにしたがって、マンションの売却価格が下がっていくのはある意味自然です。
しかし、築年数に従って1年ごとにマンションの価格が下がっていくのではなく、段階的に下がっていきます。
例えば、築年数2年から5年ぐらいのマンションについては、新築価格と中古市場の価格の差が大きく、年数に比して下落率は大きくなる傾向があります。
しかし、5年から15年ぐらいの間はマンションの価値自体が下落するというよりは、市況の影響の方が大きくなります。
築年数が20年を超えてくると、水回りや床、外観の老朽化も目立つようになり、場合によってはリフォームが必要になってきます。
このように、築年数による下落率は一定ではなく、それぞれの時期に特徴がみられるのです。
住宅ローンの残債額とマンションの売り時
住宅ローンの残債額とマンションの売り時の関係については、すべてのマンションに当てはまるわけではありませんが、心理的に「住宅ローンの残債を残したくない」という思いがあるために、売り時に影響を与えます。
多くの人は、住宅ローンを元利均等払いという支払方式によって返済しています。
元利均等払いとは、毎月の返済額を一定にする返済方式で、元本と利息の支払い割合が支払い年数によって変わってきます。
返済当初は、残債が大きいため利息の割合が大きくなっています。
そのため、借入額にもよりますが、マンションを購入してから5年から10年ぐらいはマンションを売却しても残債の方が多い、という方が多くなります。
したがって、住宅ローンの残債を考えるならば、売却のタイミングはおおむね購入から10年以降経過した後ということになります。
長期譲渡所得と短期譲渡所得
居住用のマンションの場合には、いろいろな特例があるためにあまり問題になりませんが、投資用のマンションを売却する際には、譲渡所得税のことを念頭に置いて売却のタイミングを考える必要があります。
具体的には、売却した年の1月1日時点において、所有期間が5年超か否かで判断します。
5年以下の場合は短期譲渡所得とされ、譲渡によって得た利益分について、39.63%の譲渡所得税等が課税されます。
5年超の場合には、長期譲渡所得とされ、税率は20.315%です。
マンション売却時のポイント
さて、売却の最良のタイミングが分かったところで、実際に売却するときにはどのような点に注意したらいいのでしょうか。
自分で売却事例などを確認するほかは、ぜひ早めに不動産の専門家に相談してみることをお勧めします。
売却相場を調べる
現在では、いろいろな不動産情報サイトがあるために、売り出し中の案件について検索できるようになりました。
ピンポイントで売却予定のマンションの相場がわかることはまれですが、大まかな相場を調べることはできます。
売却価格の目安を事前に知っておくほか、売却後の資金計画を立てるときの参考にするとよいと思います。
不動産の専門家に早めに相談する
不動産会社の担当者などの不動産の専門家は、日々その地域において不動産の売買案件を取り扱っているために、地域特有の情報を有しています。
またプロにしか見られない売買情報のデータベースもあります。
売却の際には不動産仲介業者に契約手続きをお願いすることになりますので、早めに相談することに越したことはありません
一括査定サービスを活用する
最近では、不動産の一括査定サービスも提供されています。
通常無料で複数の不動産会社に売却価格を依頼することができますので、効率的に査定価格を収集することができます。
売却価格の目安を知るうえで大変有益なサービスですので、ぜひ活用してみましょう。
まとめ
マンションの価格は単純に築年数のみによって定まるわけではありません。
不動産市況、周辺環境の変化、また個別のマンションの大規模修繕の状況など、さまざまな要素が絡み合って売却価格相場を形成しています。
高額な取引になるために不安や心配を抱える人がほとんどだと思いますが、早めに不動産のプロに相談することで解決されることが多いと思います。
売却を思い立ったら早期に信頼できる不動産の専門家に相談することをお勧めします。
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