新築建売住宅購入時に受給することができる「住まい給付金」という制度があります。
「聞いたことはあるけど、内容については詳しく知らない」
耳にしたことのある人は多いかもしれませんが、実際にはこのような方がほとんどではないでしょうか。
住まい給付金とは簡単にいうと住宅購入時にもらうことができるお金のことです。
そして住宅購入時に受けられるのは、他にも住宅ローン控除やエコポイント等様々な種類があります。
しかし自動的に受けられるのではなく、自分で要件を満たし申請する必要があるんです。
住宅購入時は多くの費用がかかる時期、少しでももらえるものはもらっておきたいですよね。
こちらでは新築建売住宅購入時に受けられる住まい給付金、その他の控除等についての内容や注意点について解説していきます。
事前にしっかり勉強し、少しでもお得に住宅を購入しましょう。
もくじ
新築の建売住宅購入でもらえる「住まい給付金」とはどのようなもの?
住まい給付金とは元々、消費税増税による負担を少しでも軽くしようと始まった制度です。
住宅購入時の優遇措置といえば住宅ローン控除を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
しかし住宅ローン控除は所得税・住民税から控除する仕組みです。
そのため高所得者層は受ける恩恵が大きく、低所得者層には控除額が少ないシステムとなっています。
そこでその差を埋めるためにできたのが住まい給付金です。
こちらでは住まい給付金をもらう条件や、もらえる金額について説明していきます。
住まい給付金がもらえる条件
住まい給付金の条件には人に関する条件と、物件に関する条件があります。
人だけ、物件だけ条件を満たしていても給付金はもらえないので、あらかじめ対象となる条件を把握し、当てはまるかどうかを確認しておきましょう。
住まい給付金の対象となる新築建売住宅の要件
新築建売住宅の場合の要件がこちらです。
- 床面積が50㎡以上であること
- 住宅瑕疵担保責任保険への加入か、住宅性能表示制度を利用している
住宅瑕疵担保責任保険とは、新築住宅の引渡しを受けた後に瑕疵が見つかった場合にその補修費用を補填してもらえる保険です。
この保険はあくまで住宅事業者が加入するものなので、買主が保険金を支払って入るものではありません。
住宅性能表示制度とは住宅の安全性や耐震性、省エネ性といった項目をすべて数値化して表示する制度のことを指します。
こちらも買主が利用するのではなく、住宅事業者が利用しているかどうかが判断材料となります。
新築建売住宅で住まい給付金の対象となる物件の割合は?
平成21年10月以降、建設業者および宅建業者は新築引き渡し時に住宅瑕疵保険への加入か保証金の供託が義務付けられました。
そのうち住宅瑕疵保険へ加入している物件は住まい給付金を受けることができます。
国土交通省の調査によると、平成29年4月1日から平成30年3月31日までに引き渡された新築戸建ては496,378戸、そのうち256,695戸は住宅瑕疵保険へ加入していました。
つまり、引渡しされた新築住宅のうち51.7%は住まい給付金の対象となる物件だったことになります。
参考:報道発表資料:住宅瑕疵担保履行法に基づく資力確保措置の実施状況について<br>~平成30年3月31日の基準日における届出の受理状況~ – 国土交通省
住まい給付金の対象となる人の要件
対象となる人に対する要件はこちらです。
- 自己居住用として利用する方
- 収入が一定以下
- 住宅ローン利用の場合は金融機関からの借り入れ期間が5年以上であること
- 住宅ローンを利用しない場合は50歳以上の人
収入については課税証明書の所得割にて計算するため、年収で断定することはできません。
収入額775万円以下であることがおおよその目安とされています。
住まい給付金でもらえる金額は年収によって変わる(最大50万円)
住まい給付金の金額は以下により決定されます。
- 住宅取得者の収入および持ち分割合により決定
- 収入は課税証明書に記載されている所得割額により確認
- 給付額=給付基礎額×持ち分割合により計算
住まい給付金は収入により決定される給付基礎額と、持ち分割合によって確定されます。
給付基礎額は住んでいる都道府県や市町村によって変動がありますので、住んでいる場所により変わってきますのでそれぞれの地域において確認が必要です。
例えば神奈川県の政令指定都市以外に住んでいる場合、450万円以下の収入額の方は50万円の給付基礎額となり、600万円の収入の方は30万円の給付基礎額となります。
【住宅ローンを利用する場合 神奈川県(政令指定都市除く)】

給付基礎額 | 収入額の目安 |
50万円 | 450万円以下 |
40万円 | 450万円超525万円以下 |
30万円 | 525万円超600万円以下 |
20万円 | 600万円超675万円以下 |
10万円 | 675万円超775万円以下 |
給付基礎額は10万円から、最大で50万円となっています。
住まい給付金の申請から受取までの流れ
住まい給付金はどのようにして受け取るのでしょうか。
受け取り、申請方法はこちらです。
- 窓口もしくは郵送にて申請
- 入居後から申請可能となり、引き渡し後1年3カ月以内に申請する
- 書類到着後1.5カ月~2か月後に振り込みにより送金
受給するには自分で申請しなければいけないので、忘れずに手続きするようにしましょう。
現金ではなく指定した口座に振り込みで送金される形となっています。
住まい給付金制度は令和3年12月まで実施
現在令和3年12月まで実施が決まっており、その後の延長等はまだ確定していません。
すまい給付金は住宅ローン控除などと違い知名度が低いですが、要件は難しくないので利用できるうちに住宅購入をすればお得になります。
建売住宅を購入した時の住まい給付金の申請方法
実際に住まい給付金を申請するのはどうしたらいいのでしょうか。
「条件は満たしているけど、どこに申請すればいいかわからない」
「どんな書類が必要になるの?」
いざ申請するとなると、どこに何をもっていけばいいのかわからないですよね。
こちらで住まい給付金の申請方法から必要書類まで解説していきます。
住まい給付金を申請するタイミング
- 申請するタイミングは入居後
- 住宅の引渡しを受けてから1年以内(当面は1年3カ月以内)が期限
申請は入居後から可能となります。
しかし入居後は荷物の整理や新生活への対応に追われ忙しくなりますので、忘れないように注意しましょう。
また、引き渡し後1年(当面は1年3ヶ月以内に延長)が期限になるので、入居後はなるべく早く申請手続きを済ませるようにしましょう。
住まい給付金の申請に必要な書類
すまい給付金の申請書は、住宅の種類(新築か中古か)、給付金の受取方法(本人か代理か)、住宅ローンの利用の有無によって異なります。
新築の建売住宅を住宅ローンありで購入した場合の、住まい給付金の申請に必要な書類はこちらです。
- 給付申請書
- 住所移転後の住民票の写し(原本かつマイナンバー記載ないもの)
- 登記事項証明書・謄本(原本)
- 課税証明書
- 工事請負契約書または不動産売買契約書のコピー
- 住宅ローンの金銭消費貸借契約書
- 振込先口座が確認できる書類(通帳等)
- 住宅瑕疵担保責任保険の付保証明書(コピー)、建設住宅性能評価書(コピー)、住宅瑕疵担保責任保険法人検査実施確認書(原本)のうちいずれか
給付申請書は国土交通省のすまい給付金に関するホームページ上からダウンロードし、記入したうえで持参します。
書き方のサンプルもあり、わからない場合は電話で問い合わせると記入方法を教えてくれます。
住民票は住所移転手続きが完了した後のもので、住所移転前のものだと受付できません。
住宅瑕疵担保責任保険の付保証明書や住宅性能評価書等、書類がわからなくならないように、契約時や引き渡し時に事前に不動産仲介業者に書類内容を確認しておくのも一つの手です。
住まい給付金の申請場所(窓口・郵送)
住まい給付金の申請には2つの方法があります。
- 窓口での申請
- 郵送での申請
窓口申請の場合は国土交通省のすまい給付金ホームページから窓口を検索することができます。
各都道府県に10件程度窓口がありますので、一番近い窓口で申請するのがいいでしょう。
郵送の場合は一括して赤羽郵便局に送付することになります。
こちらも国土交通省のホームページに記載してあるので、確認しておきましょう。
郵送の際料金不足のケースが多く、その場合は受理してもらえないので注意が必要です。
住まい給付金を申請する際の注意ポイント3つ
住まい給付金は最大で50万円もの給付金を受け取れる可能性があり、手続きも煩雑ではありません。
住宅購入時には多くの出費があり、できることならもらえるお金はもらっておきたいですよね。
しかしちょっとした確認不足から受給できないケースや、余計な費用がかかってしまう場合もあるので、こちらで注意点をよく確認しておきましょう。
1.売主・仲介不動産会社によっては事務手数料がかかる場合もある
住まい給付金は不動産業者等の代理請求でも受給することが可能です。
しかしその場合、事務手数料として数万円徴求されるケースがあります。
実際住まい給付金の申請にはお金は全くかかりません。
手続き自体も難しくないので、よほど忙しくて時間がない方以外は自分で手続きをして余計な費用をかけないようにしましょう。
2.建売住宅を購入する前に要件を確認しておく
いざ住まい給付金を申請したら要件を満たしていなかった、なんてことにならないよう購入前に要件を確認しておきましょう。
住まい給付金がもらえないケースでは以下のような場合があります。
- 収入が一定額以上
- 床面積が50㎡以下
- 既存住宅売買瑕疵保険に加入していない物件だった
- 住宅性能評価書を取得していなかった
特に瑕疵保険や住宅性能評価書に関しては、一般の方ですと内容が分かりにくい部分です。
事前に仲介会社を通して、条件を満たす物件なのかをよく確認しておきましょう。
3.住まい給付金はリフォーム・リノベーションではもらえない
住まい給付金は、リフォームやリノベーションをする場合にもらえる制度ではありません。
元々住宅購入する際における消費税軽減措置のための制度なので、住宅を増改築したりリフォームすることによってもらえるわけではありません。
他にも新築の建売住宅を買うとお金が戻ってくる制度2つ
新築建売住宅を買うときにお得な制度は住まい給付金以外にもあります。
「他にも何か利用できそうな制度はないの?」
「費用を少しでもまかなえる制度があるなら使いたい!」
住宅購入には様々な費用がかかりますし、使える制度があればぜひとも利用しておきたいですよね。
こちらでは住宅ローン控除、そして次世代エコポイント制度について解説していきます。
1.住宅ローン控除とはどのような制度か
住宅ローン控除という言葉を聞いたことがある人は多いと思います。
「住宅ローンの利息分がかからないって聞いたよ。」
「借り入れ金額が大きければ多いほど控除もたくさん受けられるんだよね?」
住宅ローン控除にについてこのように考えている方も多くいます。
しかし実際には住宅ローン控除制度の内容をしっかりと理解しておかないと、思っていたほどの控除が受けられないことになります。
こちらで正しい住宅ローン控除の知識を覚えて、より賢く制度を利用しましょう。
住宅ローン控除はローン借入残高の1%が毎年控除される
住宅ローン控除制度の内容はこちらです。
- 住宅ローン借入残高の1%が毎年控除される
- 控除期間は10年間
- 控除は所得税と住民税から差し引かれることになる
- 上限金額は借入金額4,000万円(長期優良住宅の場合は5,000万円)
借入金額4,000万円の1%が10年間控除されると思い、合計400万円の控除が受けられると考える方も多いですが、それは少し違います。
あくまで毎年のローン残高に対して1%なので、2,500万円の借入をして数年後残高が2,000万円まで減った場合はその残高金額に対して1%の控除となります。
また、所得税と住民税から差し引くかたちなので、所得税と住民税以上の金額は控除することができませんので注意しましょう。
【住宅ローン控除制度の条件 】
- 居住用の物件であること
- 床面積50㎡以上
- 中古住宅の場合は耐震性能を有していること
- 借入期間10年以上で金融機関からの借入があること
- 合計所得金額が3,000万円以下であること
- 増改築等の場合は工事費が100万円以上
あくまで居住用物件のみが対象なので、セカンドハウスや賃貸用の物件では利用することができません。
また、合計所得金額が3,000万円を超える方はそもそもこの制度を利用できないので注意しましょう。
【住宅ローン控除の申請方法】
- 入居した翌年の確定申告時に、自身で確定申告をする
- 給与取得者は2年目以降年末調整で適用可能
- 添付書類の用意が必要
入居したのが年末であれば年明けに確定申告することになりますが、1月や2月に入居した場合は翌年の2月が最初の確定申告時期となります。
初年度は自身で確定申告しなければいけませんが、2年目以降は年末調整で対応することが可能です。
添付となる書類には以下のようなものがあります。
- 住民法の写し
- 残高証明書
- 登記事項証明書
- 売買契約書
- 源泉徴収票
条件によって変わる場合もありますので、事前に国税庁のホームページで一度確認しておくのがいいでしょう。
消費税増税分は、建売住宅購入後11年目~13年目まで毎年戻ってくる
従来住宅ローン控除で定められた期間は10年でしたが、消費税が8%から10%に引き上げられたことにより、控除期間が3年間延長されました。
延長された11年目から13年目までの間は、「ローン残高の1%」か「建物購入価格の2%を3で割った金額」のどちらか小さいほうの金額が控除されることになります。
2.次世代住宅エコポイントとはどのような制度か(コロナウイルスの影響で再度申請可に)
次世代住宅エコポイント制度とは、新築住宅購入の際に条件によりエコポイントが付与され、そのポイントで家具や家電、その他様々な商品と交換することができる制度です。
次世代住宅エコポイント制度の内容はこちらです。
- 一定の省エネ性や耐震性、バリアフリー性能等を満たす住宅はポイントが付与される
- 家事負担軽減に資する新築やリフォームをした場合も対象
- ポイント申請をし、発行されたポイントで色々な商品と交換ができる
- 期間と予算の枠が決まっており、予算がなくなり次第終了となる
- 新築は最大で35万円相当のポイントがもらえる
性能の基準として認定長期優良住宅であることや、耐震等級2級以上、断熱等性能等級4級以上などがあげられます。
家事負担軽減に資する設備というのは、ビルトイン食洗機や浴室乾燥機、ビルトイン自動調理対応コンロ等です。
例えば食洗機の場合は18,000ポイント、自動調理対応コンロが12,000ポイントというように設備ごとにポイントが付与されます。
ポイント発行申請は自身もしくは建築業者が代行で申請し、付与された後に商品と交換する流れです。
商品の中にはテレビやエアコン、食料品から家具まで様々なものがあり選ぶことができます。
ポイント発行は2020年3月31日までで既に申請期間は終了していますが、現在はコロナウイルスの影響で住宅契約できなかった人を対象に申請受付をしています。
参考:次世代住宅ポイント制度
コロナウイルスの影響で2020年3月31日までにやむを得ず契約できなかった人で、2020年4月7日から8月31日までに契約を行った場合ポイントの申請ができます。
申請期限は2020年8月31日までの予定となっていますが、予算枠に達し次第早期に終了する可能性もあるため該当する方は早めの申請をおすすめします。
新築建売住宅を購入すると次世代住宅エコポイントが30万ポイントもらえる
新築建売住宅の場合、今はほとんどの住宅が耐震等級2以上を取得しています。
そのため新築建売住宅を購入すると、大体の確率で次世代住宅エコポイントも30万円分ついてきます。
もちろん中には条件を満たしていない住宅もあるので、建築業者に事前によく確認しておくのがいいでしょう。
住宅エコポイントで代えられる商品はどんなもの?
では実際にエコポイントで代えられる商品にはどのようなものがあるのでしょうか。
以下にその一例をあげてみます。
- 冷蔵庫やテレビ、スマートスピーカーといった家電
- ソファやカーテン、ラグなどのインテリア
- タオルや洗剤、園芸用品などの日用品や雑貨
- 牛肉や日本酒といった食料品
- キャンプ用品やスポーツ用品などのアウトドア商品
このように選べる商品は非常に多岐にわたるので、どの商品にしようか悩むことになるでしょう。
住まい給付金・住宅ローン控除・次世代エコポイントはいくらもらえる?シミュレーション解説
それでは実際に全ての制度を利用すると、どのくらいお金が戻ってくるのでしょうか。
こちらで以下のケースにてシュミレーションしてみます。
上記のような条件の家庭の場合、制度をフル活用することで300万円以上のお金が戻ってくることになります。
条件満たすことや、申請手続きをしなければならないという手間はかかりますが、大きな金額になるのでもらえるものはできるだけもらっておきたいですよね。
制度に関しては随時変更などもあるので、必ず最新の情報をよく確認して準備しておくようにしましょう。
中古住宅購入の場合の控除額はどうなる?
これまで新築建売住宅の場合を説明してきましたが、中古住宅の場合はどうなるのでしょうか。
結論からいうと中古住宅も内容は少し変わりますが、上記の制度を利用することはできます。
しかし条件を満たすためには良質な中古住宅であることが大きなポイントとなります。
主なポイントとなるのがこちらです。
- 既存住宅売買瑕疵保険への加入
- 耐震基準適合証明書の発行
- 住宅性能評価書の取得
これらの条件を満たすためにはそもそもの物件の品質が重要になり、さらに手続きに費用と時間もかかります。
中古住宅で利用する場合はそもそも対象となる物件なのかどうか、そして条件をクリアするためにどうすればいいのかをよく吟味して物件選びを慎重にしなければなりません。
まとめ
新築建売購入時には申請すれば利用できるお得な制度がたくさんあります。
新生活開始に向けて色々と出費が多いなか、もらえるものはもらっておきたいですよね。
しかし条件を満たしてしっかりと申請することが必要なので、不動産業者にもよく相談してミスのないよう手続きをしていくのがいいでしょう。

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