スムストックとはどんなシステム?参加メーカーやサービス内容を詳しく解説します

現在、各種統計が示すように国内の住宅市場には多くの空き家があり、中には使用可能な住宅も数多く存在しています。

今後新築住宅の着工件数の減少が予想される中で、中古住宅流通市場の活性化が期待されますが、そこには多くの問題点もあります。

ひとつには消費者が中古住宅の購入を検討する際に建物の情報がほとんど得られないこと、もうひとつには実際の建物の劣化度合いに関係なく築年数のみで建物の評価額が決まってしまうことがあります。

そして既存住宅の購入を検討する際には、「不具合の有無」も最も不安な点として挙げられます。

そこで優良な既存住宅を社会の共有資産として適正に評価し、長く住み継ぐための仕組みづくりが求められるようになりました。

そうした仕組みのひとつがスムストックです。

では具体的に、スムストックとはいったいどのような仕組みなのでしょうか?

本記事では、スムストックの仕組みやサービス内容などを詳しく解説したいと思います。

もくじ

スムストックとは?

スムストックとは日本語の「住む」と英語の「ストック(Stock)」を重ねた造語で、一定の条件をクリアした優良な中古住宅のことをいいます。

大手ハウスメーカー10社が参加している団体「優良ストック住宅推進協議会」が、住宅の長寿命化を目的として名付けた名称がスムストックです。

スムストック住宅販売士という資格を持った専門家が住宅の査定を行い、この流通システムの中での共通ブランド名としてスムストックという名称が使われています。

スムストックはどうして発足したのか?

優良な既存住宅流通の活性化と適切な市場形成を目指して2008年7月に優良ストック住宅推進協議会が設立されました。

その後、2017年10月に事業活動の更なる拡大推進をはかるために一般社団法人 優良ストック住宅推進協議会が設立されました。

こうした協議会が設立された背景にはどのような問題があったのでしょうか?

日本の住宅は欧米と比べて寿命が短い

日本の住宅は他の先進諸国と比較して住宅の寿命が非常に短命です。

百年以上続く欧米の住宅と異なり、日本の住宅の平均寿命は約30年と言われています。

しかしこれは日本の住宅の寿命が極端に短いという訳ではなく、実際の住宅の劣化度合いに関係なく建物の評価額が激減してしまうことに原因がありました。

現行の不動産流通における評価制度によると、建物の価値は築後22年が経過するとほぼゼロになります。

また日本の不動産業者や建築業者は新築住宅を販売することで収入を得てきたため、建物が古くなると「取り壊して建て替えた方が安くなりますよ」というセールストークが盛んに行われ、新たに住宅を購入する人たちも中古住宅に目を向けることが滅多にありませんでした。

こうした新築住宅を偏重する考えが、日本の住宅の寿命を短くする大きな要因になってきた経緯があります。

中古住宅市場が抱える問題点

国内の中古住宅の売買において価格を査定しているのは、主に不動産仲介業者です。

しかし建物に関する専門知識を持つ仲介業者は多くないので、売買する建物が今後どのくらいの期間に渡って利用可能なのか、どんな補修工事が必要なのか、将来のメンテナンス費用はどの程度かかるのか、といったことがほとんど理解できていません。

そのため、見た目が綺麗であれば建物全体に問題はないという錯覚を起こし、消費者に対して信頼できる情報を提供できていないという現状があります。

また中古住宅の売買では簡単な間取り図のみで取引されることが多く、建物に関する情報が圧倒的に不足していることも問題です。

過去にどのような不具合が発生したことがあるのか、どのようなメンテナンスが行われてきたのか、雨漏りや不同沈下はないか、耐震性能は確保されているのか、などといった情報がないままで取引が行われることも間々あります。

こうなると消費者の中古住宅に対する不安は増すばかりで、購入をためらってしまうことになります。

「安心R住宅」制度の開始

こうした中古住宅の「不安」「汚い」「わからない」といった従来のマイナスイメージを払拭させるために生まれたのが「安心R住宅」制度です。

「安心R住宅」とは、耐震性がありインスペクション(建物状況調査等)が行われた住宅で、リフォーム等についての情報提供が行われる既存住宅を指します。

この基準を満たした住宅に対して、国が商標登録した安心R住宅ロゴマークの使用を認める「安心R住宅制度」が平成29年に施工されました。

現在9団体が登録されていますが、優良ストック住宅推進協議会は「安心R住宅」の事業者団体として最初に登録されています。

参考:「安心R住宅」制度の概要|住宅:安心R住宅 – 国土交通省

スムストック制度は、中古住宅市場がかかえる問題点や課題点を改善するためにこうした経緯を経て創設されました。

スムストックの対象になるのはどんな中古住宅?

スムストックの対象になる住宅は、優良ストック住宅推進協議会の会員会社が過去に供給してきた建物のうち、一定の条件を満たしたものです。

以下の3つの原則を満たす住宅が「スムストック」と定義されています。

1.新耐震基準に適合している

安心できる住まいには、耐震性能が欠かせません。

スムストックでは、1981年に改正された新耐震基準に適合していることが最低限の条件になっています。

2.メンテナンス履歴が残っている

過去にどのような修繕・メンテナンスがおこなわれてきたのかが分かると、今後のメンテナンス計画を立てる上で非常に役立ちます。

新築時の図面や過去のリフォーム・メンテナンス情報等が管理・蓄積されていることも条件のひとつになっています。

3.将来を見据えたメンテナンスを行っている

長く住み続けることができる住宅であるためには、建築後50年以上の長期点検制度とメンテナンスプログラムがあって、計画通りに点検や修繕を実施できていることが大切です。

または査定時に点検を実施し、基準を超える劣化事象がないことが確認できている必要があります。

スムストックの運営は従来の中古住宅販売とどこが違う?

物件がスムストックの条件を満たすだけでは、安心して既存住宅を取引することはできません。

これまでの中古住宅市場での課題点を活かしつつ、スムストックでは以下の3つの手法で住宅の価値を明確化し、取引の安全をはかっています。

1.住宅販売士による認定・販売

宅地建物取引士の資格を有し、かつ自社の建物の知識が豊富なスムストック住宅販売士が査定から販売まで行うことで、住宅の価値を適正に評価することが可能になります。

2.独自の査定方法を実施

スムストックでは独自の査定方式で査定を行っています。

まず、従来一緒くたに査定されていたスケルトン(構造躯体)とインフィル(内装・設備)の償却年数を区分して、建物本来の価値を正しく査定します。

さらに過去のメンテナンス履歴やリフォーム履歴などもきちんと評価します。

スケルトンとインフィルを別々に査定することにより、丈夫な構造躯体を持つ建物の価値が適正に評価されます。

3.土地・建物それぞれの価格表示

スムストックでは、中古住宅売買で一般的な総額表示ではなく建物価格と土地価格を分けて表示します。

そのため買主は建物価格をきちんと把握することができます。

スムストックの実績

スムストックは2008年に設立された新しい制度です。

2018年度の成約数は1800棟、累積成約数が約1万件となるなど毎年業績を伸ばしています。

しかしこの数字はまだ市場の流通数の1~2割程度であることから、今後の認知度の向上とマーケットへの浸透が課題と言えるでしょう。

スムストックのホームページでは、スムストック対象の住宅を検索することができます。

参考:購入をお考えの方|スムストック – 優良ストック住宅推進協議会

スムストックに参加している住宅メーカーとは?

一般社団法人「優良住宅推進協議会」は現在大手ハウスメーカー10社からなり、スムストックの評価・流通の推進などの活動を行っています。

スムストックに参加している大手住宅メーカー10社

現在スムストックに参加しているのは国内を代表する大手ハウスメーカー10社です。

それぞれの特徴を簡単にご紹介します。

旭化成ホームズ

ヘーベルハウスでお馴染みの軽量気泡コンクリート住宅を手掛けるハウスメーカーです。

都市部で求められる商品ラインアップの充実が特徴です。

住友林業

植林事業をきっかけに創業された木造住宅に精通したハウスメーカーです。

木材建材事業などでも実績があり、木材に関するスキルが最も豊富なメーカーです。

積水化学工業(セキスイハイム)

セキスイハイムでお馴染みのハウスメーカーです。

住宅の大半をユニットごとに工場生産することで高品質な住宅を安定して供給しています。

積水ハウス

鉄骨住宅から木造住宅まで多様な商品を持ち、圧倒的な年間供給戸数を誇る業界最大手のハウスメーカーです。

ダイワハウス工業

総合住宅産業として多角的に住宅事業を展開している業界最大手のハウスメーカーのひとつで、近年では商業施設の建設や高齢者福祉関連事業などにも取り組んでいます。

トヨタホーム

トヨタ自動車のグループ企業で、トヨタの生産方法を採り入れた鉄骨住宅の家づくりを行っています。

また大規模な開発を通じた街づくりも手掛けています。

パナソニックホームズ(旧パナホーム)

家電メーカーパナソニックのグループ企業で、家電メーカーならではの強みを活かした太陽光発電や、住宅で使用する電力の見える化をはかるHEMSなどにも注力しています。

ミサワホーム

大収納空間の「蔵」を代表とする日本の風土や暮らしに適した住まいづくりを得意とするハウスメーカーです。

木造住宅と鉄骨住宅を手掛けています。

三井ホーム

他のハウスメーカーと比較して坪単価が高めながら、デザイン性の高い住まいづくりを得意とするハウスメーカーです。

主にツーバイフォー工法を採用しています。

ヤマダ・エスバイエルホーム

家電量販店最大手のヤマダ電機の100%子会社で、太陽光発電・オール電化などを備えたスマートハウスの販売促進に注力しています。

スムストックの評判は?メリット・デメリット

中古住宅を購入する上で、スムストック認定の住宅を選ぶとどんなメリット・デメリットがあるのでしょうか?

それぞれの特徴をしっかりと踏まえたうえで利用することが大切です。

スムストックの4つのメリット

スムストックのメリットは、この制度の最大の特徴でもある明確さ、透明性でしょう。

安心で安全な中古住宅を手に入れることが出来ます。

➀住宅に関する資料がすべて備わっている

通常の中古住宅の売買では平面図や立面図はおろか、簡単な間取り図1枚で取引されることが少なくありません。

また建築確認申請や完了検査を受けたかどうかさえも分からないことがあります。

スムストックでは、取引しようとする建物の資料が揃っていることが基本になるので安心です。

➁メンテナンス履歴がわかる

スムストックでは過去の修繕・メンテナンス履歴がすべて残っているので、購入後に適切な修繕計画やメンテナンス計画を立てるのが容易になります。

➂建物の価格がわかる

スムストックでは建物の価格と土地の価格が別々に表示されているので、適正な建物価格を認識することができます。

➃住宅メーカーの保証制度が引き継げる

通常の中古住宅の売買では購入後に住宅メーカーの保証が受けられなくなってしまいますが、スムストックでは住宅メーカーの保証や点検制度が引き継がれます。

スムストックの2つのデメリット

では反対にスムストックのデメリットとは何でしょうか?

➀費用が割高になる可能性

これは中古住宅の価値を正しく査定した結果とも言えるのですが、経年数で判断されがちな一般的な中古住宅と比較してスムストック住宅は割高の傾向にあります。

買主からすると、これはデメリットとなり得ます。

大手ハウスメーカーの安全・安心・永く住むことができる中古住宅を手に入れられると捉えるか、初期費用の高さからコストパフォーマンスの悪い住宅と捉えるかは、その人次第でしょう。

➁各メーカーでサービス内容にばらつきがある

スムストックの制度はまだ始まって約10年しか経っていない新しい制度です。

そのためまだ周知されておらず、参加している各メーカーによってもサービス内容にばらつきがあるのが実情のようです。

しかし今後、スムストックの仕組みが世間に浸透しマーケットを大きく動かす存在になる可能性は大いにあります。

利用する際は各ハウスメーカーの特徴をよく見極める必要があるでしょう。

【Q&A】家を購入したい人必見!スムストックEXPOってどんなイベント?

Q:スムストックEXPOってどんなイベントなのでしょうか?

A:スムストックEXPOとは積水ハウスが全国で一斉に開催したイベントのことで、積水ハウスで建築した瑕疵保険付保可能なスムストック対象物件を見学できるオープンハウスです。

実物を体験できると共に、スムストックの詳しい説明を受けることが可能です。

また積水ハウスの純正リフォームで生まれ変わった住宅を見学することもでき、その場で自宅の図面をもとにリフォーム相談を受けることもできます。

さらに最新のVRでリフォームのビフォーアフターを体験することも可能で、スムストックの購入のみでなく、リフォームを検討中の方にも参考になるイベントです。

まとめ

ここまでスムストックについてご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。

スムストックは今後、中古住宅流通市場の活性化が期待される中で非常に有効な制度です。

一方でその対象が大手ハウスメーカー10社の住宅に限定されてしまうので、自分が購入したい物件がスムストックの対象にならないことが圧倒的に多いという問題があります。

現実的には様々な住宅メーカーや工務店が施工した中古住宅が市場に数多く出回っているので、そのような住宅に対して客観的に評価する仕組みづくりが必要です。

ホームインスペクションの普及など、今後更なる対策が必要になるでしょう。

うちハピ

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