耐震等級とは?1・2・3の違いや基準、耐震性について知っておくべきポイントも紹介

建物の耐震性を示すもののひとつに耐震等級があります。

ただ、耐震等級のほかにも耐震性、耐震基準などがあり、紛らわしいものです。

大きな地震がいつか来るといわれている日本。

地震に対する備えをしておくに越したことはありません。

今回は耐震等級について勉強しましょう。

耐震等級の4つの基礎知識

耐震性に関する言葉は紛らわしくわかりにくいものもあります。

耐震と耐震等級は違いますし、耐震、制震、免震と紛らわしい言葉ばかりです。

こうしたよく似た4つの言葉について解説します。

  1. 耐震構造とは何か
  2. 制震構造とは何か
  3. 免震構造とは何か
  4. 耐震等級とは

それぞれ見ていきます。

耐震構造とは何か

耐震とは、建物の地震対策工法のひとつです。

耐震は建物の強さ、頑丈さによって地震に対抗します。

文字通り、地震に耐えるのです。

これまでの地震対策は、耐震を中心に発展してきました。

今建っている戸建住宅のほとんど、ビルやマンションの大部分は耐震構造です。

耐震は建物を強く、丈夫にすることによって地震から守ります。

建築法規を低コストでクリアしようとすると、耐震が最も合理的な方法です。

制震構造とは何か

制震は地震のエネルギーを吸収する工法です。

制震部材と呼ばれる、ダンパーや錘(おもり)などの部材でエネルギーを吸収します。

この結果、地震の揺れを軽減できるのです。

高層ビルの耐震工法では、上層階ほど揺れが大きくなります。

これを制震構造では軽減することが可能です。

高いビルでは有効な方法となります。

また、免震に比べるとコストがかからないため、木造住宅でも採用される場合がある工法です。

免震構造とは何か

免震は地震のエネルギーを受け流す工法です。

免震装置を建物と基礎との間に免震装置を取り付け、地震のエネルギーを建物に伝えません。

建物が揺れないのは、免震装置と免震ゴムの効果です。

3つの構造のうち、最も耐震性に優れる構造といえます。

一方で建物と基礎を切り離す、免震装置を導入するといったことが必要です。

その結果、コストは最も高くなります。

耐震等級とは

耐震等級は「住宅の品質確保の促進等に関する法律」、通称「品確法」に規定された建物の耐震性能です。

耐震等級は耐震等級1から3までの3段階があり、耐震等級3が最高レベルとなります。

耐震等級は耐震構造、免震構造といった構造の用語とは根本的に異なる概念です。

耐震構造だから取得できるわけではありません。

また、免震構造や制震構造でも耐震等級は取得できます。

耐震基準と耐震等級

耐震等級と似たような言葉に耐震基準があります。

耐震基準も耐震性に関する用語ですが、耐震等級とは異なる概念です。

耐震基準は建物の耐震性の歴史でもあります。

古くは関東大震災から、日本が災害を経験するたびに改正されてきました。

ここでは耐震基準の歴史的な経緯と建築年次ごとの耐震性についてお話します。

耐震基準は建築基準法の基準

耐震等級が品確法に規定されているのに対し、耐震基準は建築基準法の概念です。

建築基準法は日本の建築法規の基本法ともいうべき法律で、耐震基準をはじめ多くの規制が盛り込まれています。

地震や火災、津波などの災害が日本を襲うたびに、それらに耐えられるように基準が改正されてきました。

1981年に大改正

耐震基準は1981年に大改正が行われています。

正確には、1981年6月1日以降に建築確認をした建物は改正後の基準に基づいた建物です。

この基準を通称「新耐震基準」といいます。

今でも建物を購入する際に、1981年つまり昭和56年がひとつの区切りになるのはこのためです。

新耐震基準とそれ以前の基準では耐震性に大きな隔たりがあります。

2000年にも改正

耐震基準は2000年にも改正されています。

俗に「改正新耐震基準」や「新々耐震基準」と呼ばれる基準です。

この改正は1996年の阪神大震災を契機に改正されました。

阪神大震災では、古いビルが倒壊したり、木造建物が倒れたりして多くの被害が出ました。

ビルが横倒しになっている映像や中層階がつぶれている画像は今でも衝撃的です。

基準を満たしていないと違法なのか   既存不適格建物となる

これらの耐震基準は大きな災害があると改正されています。

では改正のたびに新たな耐震基準を満たさないと違法建築になってしまうのでしょうか。

実は建物が建築された時点での耐震基準に沿っていれば、違法ではありません。

現行の耐震基準にはあっていないけれど、建築当時の耐震基準を満たした建物を「既存不適格建築物」といいます。

既存不適格建築物であれば、新たな耐震基準にあうように改修する必要はありません。

耐震基準は人命を守ることが最優先

耐震基準の目的はズバリ人命を守ることです。

地震によって建物が倒壊し、その中で人が死ぬことを防ぐことが目的で定められています。

倒壊しないためには耐震構造で建物を頑丈にする、制震構造で地震のエネルギーを吸収するといったことが求められているのです。

耐震基準は人命を守ることを最優先としています。

耐震等級の3区分の解説

先ほどもお話ししたとおり、耐震等級は3つに区分されています。

建築基準法の耐震基準をクリアするだけならば耐震等級1です。

さらに上の等級は相当な耐震性があります。

また、建売住宅などでは耐震等級3「相当」といった表現も。

相当がつくと何が変わるのかもお話しします。

耐震等級1

耐震等級1は建築基準法が求める現行の耐震基準と同等の耐震性を有している建物に与えられます。

つまり、現在の新築住宅はすべて耐震等級1相当の耐震性があるのです。

耐震等級1だと震度6から7に耐えられるように設計されます。

また、震度5程度なら建物の損傷防止にも効果的です。

これは数十年に一度の頻度で発生する地震に耐えられることになります。

耐震等級2

耐震等級2は耐震等級1の1.25倍の強度が求められます。

耐震等級2は「長期優良住宅」の要件です。

病院・警察などの災害時でも機能することが必要な施設や学校などの避難所に利用される施設などが耐震等級2を求められます。

こうした施設に求められるレベルなので相当な耐震性を有しているのです。

耐震等級3

耐震等級3は耐震等級1の1.5倍の強度が求められます。

救護活動や災害復興の拠点となる消防署、警察署などの重要な施設が耐震等級3を要求されるのです。

耐震等級3になると、免震構造も増えてきます。

木造住宅は減少し、高層ビルや高層マンションなどの鉄筋コンクリート造が多くなるのです。

耐震等級3「相当」とは

耐震等級3相当という言葉が広告のコピーで使われています。

実は、これは耐震等級3を認定されているわけではありません。

認定されてはいないが、耐震等級3と同等の耐震性があることをアピールしています。

これは認定費用が数十万円かかるため、耐震等級3の認定審査をしていない建物もあるためです。

本当に耐震等級3相当の耐震性があるかを確認するには専門家に依頼する必要があります。

耐震性と耐震等級を決める建物の4要素とは

地震に対する強さを決めるのは、建物の性能です。

同じ材料を使っていても設計によって耐震性や耐震等級は変わってきます。

ここでは耐震性や耐震等級を決める建物の要素を4つに分けてみました。

以下がその4要素です。

  1. 建物の重さ
  2. 耐力壁の多さ
  3. 耐力壁や耐震金物の配置場所
  4. 床の耐震性能

それぞれ解説します。

1.建物の重さ

まずは建物の重さです。

建物は軽ければ軽いほど、地震の際の揺れが小さくなります。

ただ、屋根を軽くしすぎると、今度は台風時の強風や暴風に弱くなるのです。

かつては重い瓦を使って風に対する対策をしている家が多くありました。

現在では瓦も軽量です。

瓦は留め具で止めてなるべく軽量化を図っています。

2.耐力壁の多さ 耐力壁とは地震や風などで生じる横からの力に抵抗できる壁

耐力壁は建築用語のひとつで地震や風などの横からの力に耐えるための壁のことです。

耐力壁があればその建物は強い地震や風に強い建物になります。

窓や出入り口があると、耐力壁を設置することができません。

開口部の多い建物よりも、開口部が少なく耐力壁が多い建物のほうが耐震上では有利です。

3.耐力壁や耐震金物の配置場所

先ほどの耐力壁や部材同士をつなぎとめる耐震金物は多ければよいわけではありません。

適切に配置されてはじめて威力を発揮します。

例えば、建物の東の壁と西の壁だけに耐力壁があったとしても耐震性は期待できません。

南北の壁が弱いからです。

耐力壁や耐震金物は適材適所で使う必要があります。

4.床の耐震性能

これまでは壁の話が中心でした。

ただ、箱を思い浮かべるとわかるように、壁だけ強くても安定はしません。

箱の場合では、ふたの部分と底の部分が強いと簡単には箱はつぶせなくなります。

家も同様です。

床の部分と天井の部分を強くすると耐震性はより向上します。

木造住宅なら火打ち梁を使う、構造用合板で補強するなどの手段が代表的です。

地震で倒れやすい家のおさらい

ここで耐震や耐震等級を知るために、耐震とは逆の、地震で倒れやすい家とはどのようなものかおさらいしてみましょう。

地震に弱い家で思い浮かべるのが、形がいびつな家、開口部が多くて壁が少ない家、増改築時などに柱を欠損した家、柱や梁が金物で緊結されていない家などです。

こうした住宅は、耐震性のテストでもその弱さが指摘されています。

耐震等級について知っておくべき5つのポイント

耐震等級について知っておくべきポイントは以下のとおりです。

  1. 耐震等級が不明な建物もある
  2. 耐震等級1の建物が多い
  3. 注文住宅ならば耐震等級を選べる
  4. 地震後も住めるかは別問題
  5. 耐震等級3は地震保険料が安い

耐震等級は導入されてから20年程度の比較的新しい制度です。

また認定を強制するものでもありません。

地震の被害を少なくすることが目的ですが、地震後も変わりない生活ができるものでもないのです。

耐震等級について知っておくべきポイントをまとめました。

耐震等級が不明な建物もある

品確法が2000年に制定されたので耐震等級もこの時からです。

こうした経緯もあり、品確法制定以前に建てられた建物は耐震等級を取得していません。

中には耐震等級2や3の建物も存在します。

耐震等級取得は任意であり、強制的なものではありません。

2000年以降に建築された建物もすべてが等級を認定されているわけではないのです。

耐震等級1相当の建物が多い

耐震等級は取得していなくても、日本の建物の多くは耐震等級1相当の耐震性を有しています。

それは、1981年制定の新耐震基準がほぼ耐震等級1相当だからです。

つまり1981年以後に建てられた建物や耐震改修を受けた建物はほぼ耐震等級1相当となります。

注文住宅ならば耐震等級を選べる

耐震等級を決定する権利があるのは、施主や所有者です。

コストさえ許せば、耐震等級3の建物も建築することができます。

もし戸建の注文住宅ならどの耐震等級とするかを選ぶことすらできるのです。

マンションでも施主であるメーカーが耐震等級を決定します。

セールスポイントとするためにもより高い耐震等級を取りたいのが開発業者の本音です。

地震後も住めるかは別問題

現在の耐震基準や耐震等級は1回の地震に耐えられるよう定められています。

ただ、熊本地震は短期間で2度震度6以上の地震が来ました。

こうした場合、耐震等級の高い建物でも被害を受けています。

2度以上の強い揺れには対応できるようにはなっていないのです。

強い揺れは一度だとしても、その建物でこれまでと同じように生活できるようにも設計されていません。

耐震等級認定で地震保険料が安くなる

耐震等級を認定されると地震保険料が安くなります。

保険料は耐震等級1でも20%程度の割引です。

耐震等級3にもなると最大50%も安くなる場合があります。

地震保険料が安くなるのは、それだけ大きな被害が少ないことの証です。

耐震等級を証明する書類を添付することで割引が適用になります。

保険料が割高で普及率も進んでいない地震保険には朗報です。

まとめ

耐震等級取得は強制ではありません。

それなりに認定費用もかかります。

それでも認定を取ろうとするのは、耐震等級を取れば安心といえるからです。

建売住宅や分譲マンションならセールスポイントにもなります。

こうした制度を通じて、耐震性の高い建物が増え、万一の災害の際に被害が少なくなることを願ってやみません。

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