注文住宅で予算オーバーしないための決め方マニュアル~年収別の目安や費用削減の方法まとめ

注文住宅を建てる際に、気になるのはやはり予算のこと。

ほとんどの人が住宅ローンを利用するので、なるべく月々の生活に負担をかけない様に返済計画を立てる必要があります。

通常住宅を購入する際には、現在の貯蓄額や世帯年収をもとに資金計画を立てて購入予算を検討しますが、年収からどの様にして購入予算を算出していくのかわからないという方が多いのではないでしょうか。

そこで、無理のない購入予算の立て方を詳しく解説したいと思います。

注文住宅を建てる人の平均年収は?

実際に注文住宅を建てる人の平均年収はどれくらいなのでしょうか?

平成30年3月に国土交通省住宅局が発表した「平成29年度住宅市場動向調査報告書」によれば、新築注文住宅を購入した全国の平均世帯年収は698万円、三大都市圏では734万円という結果でした。

(三大都市圏:首都圏、中京圏、近畿圏)

尚、世帯年数とは本人及び収入合算者の年間収入の合計のことをいいます。

また土地を購入して注文住宅を新築した場合の購入資金の全国平均は、4,334万円に対して三大都市圏平均では4,472万円でした。

地方よりも三大都市圏の方が地価や建築費が高くなるので、やはりその分年収も高くなる傾向がある様です。

注文住宅の予算はどれくらいの額が適切なの?

注文住宅の予算は、一般的にどれ位で考えておけば良いのでしょうか。

ここでは注文住宅購入の予算を立てる上での目安についてご紹介します。

一般的には「年収の5~6倍」が目安になる

注文住宅の購入予算を決める上では、無理なく月々の住宅ローンの返済ができることを第一に考えなければなりません。

そのため、年収をもとに考えるのが一般的です。

前述した「平成29年度住宅市場動向調査報告書」の結果をもとに計算すると、注文住宅の購入資金は全国平均で世帯年収の約6.2倍、三大都市圏で約6.1倍という結果になり、平均世帯年収の約6年分というのがひとつの目安になりそうです。

しかし、上記はあくまでも世帯年収をもとにした計算なので注意が必要です。

夫婦の年収を合算している場合だと、将来出産などで世帯年収が減ってしまう可能性が高いので、住宅ローンの返済不能に陥る可能性があります。

そこで住宅購入の予算は、一般的に年収の5倍が目安といわれています。

しかしこれにも注意が必要です。

一口に年収の5倍といっても、子供の数や親の介護の有無、年収に占める年間の生活固定費の割合などの家庭環境によって、お金の余裕がそれぞれの家庭で異なるためです。

たとえば年収が500万円の人と1,000万円以上の人とでは、光熱費や食費、保険料などの生活固定費が収入に占める割合は年収が低いほど大きくなるので、年収が500万円の人の方が返済負担は大きくなります。

適正な予算をシミュレーションしてみよう

住宅購入予算の計算方法は「年収×年収倍率+自己資金-諸費用」になります。

年収が700万円の人が注文住宅を建てる場合の予算は、年収倍率を5倍にする場合には、700万円×5倍=3,500万円になり、自己資金1,000万円を用意できるのであればそれを加えて4,500万円です。

しかし注文住宅を建てる際には、土地の購入代金や建物の工事代金以外にも諸費用がかかるので、その分の金額をあらかじめ差し引いておかなければなりません。

諸費用を引いておくことも忘れずに

諸費用とは、不動産仲介手数料や登記手続き費用、住宅ローン事務手数料、引っ越し費用などの建築費用以外にかかる費用で、人によって異なりますが一般的には150万円程度かかるのが普通です。

予算組の際には、あらかじめ諸費用を忘れずに差し引いておかなければ予算オーバーになってしまうので注意が必要です。

したがって、4,500万円-150万円=4,350万円が住宅購入予算になります。

全国的な注文住宅の取得費用の平均が4,334万円となるのであれば、これくらいの資金計画を立てる必要があることを知っておくと良いでしょう。

予算オーバーは厳禁!堅実なプランを立てよう

ここまで年収に応じた住宅購入予算の立て方についてご紹介してきましたが、適正な予算をあらかじめ把握しておくことによって住宅ローンの返済を無理なく行うことができる様になります。

また注文住宅の建築では、予期せぬ出費が発生してしまうことも少なくないので、資金繰りには余裕を持っておくことが大切です。

せっかく理想の新居を手に入れても、日常生活が圧迫されるようでは新居での暮らしを楽しむことができません。

また、用意できる自己資金の額や近い将来必要になるお金も人によって様々なので、自分の家計にあった資金計画を立てることが重要です。

住宅ローンを利用する場合の3つのチェックポイント

住宅ローンを利用する場合には、どんな点に注意すれば良いのでしょうか。

ここでは実際に住宅ローンを利用して注文住宅を取得した人はどれくらいいるのか、住宅ローンの借入期間はどれくらいになるのか、住宅ローンの一年間の返済額はいくら位になるのか、の3つのチェックポイントについてご紹介します。

住宅ローンを利用している人はどれくらいいるの?

注文住宅を建てる際には、住宅ローンを利用する人が多いといいますが、実際にどれくらいの人が住宅ローンを利用しているのでしょうか。

先の「平成29年度住宅市場動向調査報告書」によれば、住宅ローン(住宅金融支援機構提携ローン(フラット35)、民間金融機関、住宅金融支援機構からの直接融資、その他の公的機関や勤務先からの借入金など)を有する世帯の割合は、注文住宅を新築する世帯(建て替えを除く)の56.9%になっています。

半数以上の人が住宅ローンを利用して注文住宅を建てているのが現状です。

住宅ローンの一般的な借入期間は?

同調査結果によると、注文住宅取得資金の返済期間は、土地購入における借入金の返済期間が平均で33.2年なのに対し、注文住宅建築における借入金の返済期間は平均で31.1年となっていて、いずれも30年を超える長期に渡っています。

一年間に返済する金額はいくらぐらい?

では住宅ローンの返済額は年間いくら位になっているのでしょうか。

これも同じ調査結果から、住宅ローンがある世帯の年間返済額は、注文住宅の取得世帯が最も高く130.5万円となっていて、返済負担率(返済比率)は20.4%です。(年収の約1/5)

尚、参考までに分譲戸建住宅の取得世帯の年間返済額は119.2万円で返済負担率は29.2%になっています。

年間返済額は、分譲戸建、分譲マンション、中古戸建、中古マンションのいずれを購入する人よりも高額になります。

注文住宅を建てる際にかかる主な4つの費用とは?

注文住宅を建てるためには、どんな費用がかかるのでしょうか。

ここでは主な4つの費用についてご紹介します。

土地の購入費用

土地の購入費用には土地の売買代金のほかに、不動産仲介会社に支払う仲介手数料や印紙税などがあります。

尚、土地代には消費税はかかりませんが、仲介手数料には消費税が課税されます。

建物の建築費用

建物の建築費用には、建物本体工事価格の他に地盤改良工事費用、建築確認申請費用、上下水道・ガスの引き込み工事費用、屋外電気・給排水工事費用、外構工事費用、照明器具・カーテン・エアコンなどの設置費用がかかります。

これらは工事を着工するために、または生活するために最低限必要な費用なので、予算にしっかりと計上しておく必要があります。

地鎮祭費用

地鎮祭とは工事の安全や家の繁栄を祈る儀式で、神主への初穂料(謝礼)3万円前後とお供え物が必要になります。

その他上棟式を行う場合には、大工さん等の職人へのご祝儀や食事・飲料を建築主が用意するのが一般的です。

その他の費用

その他の費用には、登記費用、住宅ローンの事務手数料、保証料、火災保険料、引っ越し代、家具・家電の購入費用などがあります。

その他の費用だけでも百万円単位になることもあるので、事前に内訳を良く調べておくことが大切です。

どんな注文住宅が建てられる?年収別に2つのパターンを紹介

住宅ローンをいくら借りるのか、毎月いくらまでなら住宅ローンの返済に充てられるのか、によって住宅の購入予算が決まります。

その際にポイントになるのが返済比率(返済負担率ともいいます)です。

返済比率とは、「年収に占める年間の返済額の割合」のことで、返済比率が高くなるほど高額の借り入れが可能になりますが、生活費の余裕がなくなります。

返済比率(返済負担率)=年間返済額÷年収×100

住宅ローンの審査を行う際に金融機関がチェックするポイントのひとつで、返済比率が一定の基準を超えると返済できなくなるリスクが高くなるので、融資を受けることができなくなってしまいます。

返済比率は金融機関や住宅ローンの種類によって異なりますが、ほとんどが35~40%程度が上限になっていて、年収ごとに細かく基準が定められています。

フラット35ではどの金融機関でも年収が400万円未満の場合は返済比率が30%以下、400万円以上の場合には35%以下が基準となります。

年収400万円で住宅ローンを組むとどうなる?

それでは年収400万円の人が住宅ローンを組んだ場合に、年間返済比率ごとに借入可能金額がどの様に変わるのかを住宅ローンシミュレーターを使って計算してみましょう。

ただし、返済方法は元利均等方式、返済期間は35年間、当初金利は1.210%とします。

年間返済比率20%の場合

このケースでは、年間返済額の上限は400万円×20%で80万円になります。

毎月の返済額の上限は80万円÷12か月=約6.7万円です。

借入可能額は2,281万円になります。

借入可能額は金利によっても大きく異なり、これと全く同じ年収、同じ借り入れ条件でも金利が1.870%になると借入可能額は2,053万円になってしまいます。

したがって金利の変動には注意が必要です。

年間返済比率25%の場合

年間返済額の上限は100万円、毎月の返済額の上限は約8.3万円です。

この場合の借入可能額は2,852万円になります。

年間返済比率30%の場合

年間返済額の上限は120万円、毎月の返済額の上限は10万円です。

この場合の借入可能額は3,422万円です。

年収600万円で住宅ローンを組むとどうなる?

では年収が600万円の人の場合にはどうなるのでしょうか。

同様に年間返済比率ごとの借入可能額を見てみましょう。

返済方式、返済期間、当初金利は年収400万円の場合と同じ条件とします。

年間返済比率20%の場合

年間返済額の上限は120万円、毎月の返済額の上限は10万円です。

借入可能額は3,422万円です。

年間返済比率25%の場合

年間返済額の上限は150万円、毎月の返済額の上限は12.5万円です。

借入可能額は4,278万円です。

年間返済比率30%の場合

年間返済額の上限は180万円、毎月の返済額の上限は15万円です。

借入可能額は5,133万円になります。

一方で、クレジットカードで分割払いをしている場合などは、その分の額も毎月の支払額に加算されてしまうので注意が必要です。

【Q&A】予算が少ないと注文住宅は建てられない!?

Q:土地を購入して注文住宅を建てるための購入資金の全国平均は4,334万円とのことですが、予算が少ないと注文住宅はあきらめた方が良いのでしょうか?

A:注文住宅の最大のメリットは、ひとりひとりの要望に合った住まいを建てることができることです。

要望が多くてこだわりが強いほど建築コストが膨らんでしまうのは当然のことですが、予算がないからといって注文住宅をあきらめなければならないという訳ではありません。

例えば狭小地や変形地、傾斜地などの比較的安い土地を手に入れて、設計を工夫することによって土地のデメリットを解消できることもあります。

また日々の暮らしを見直すことにより要望の優先順位を明確にして、使用頻度の低い設備や必要のない機能などを省くことも可能になります。

無駄な装飾を省いたり、各部屋に使用する建築資材を統一したりしてコストダウンを図るのも良いでしょう。

建築をローコスト住宅メーカーに依頼することによりコストダウンを実現している事例は数多くあります。

まとめ

住宅の購入予算を立てる上では、自分の返済能力をベースに考えることが最も重要です。

とくに注文住宅を建てるとなると、ついあれもこれもとなってしまいがちで、「いくらまでなら借りられるのか」をベースに資金計画を立ててしまう人が多い様です。

無理して本来の返済能力以上の資金計画を立ててしまうと、せっかく苦労して建てた注文住宅を住宅ローンの返済ができなくなって手放してしまうことにもなりかねません。

毎月無理なく返済できる金額をもとに、年収に対する年間返済比率から借入可能額を計算することが大切です。

これに自己資金を加えて諸経費を差し引いた額が購入予算の上限です。

はじめに物件価格ありきではなく、地に足が付いた資金計画を立てる様にしましょう。

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