<記事の情報は、2022年5月1日時点のものです>
土地を購入してマイホームを建てる際に、希望する広さの家が建築可能かどうかを決める指標には、建ぺい率のほかに容積率があります。
どちらも敷地に対して建築可能な建物の大きさを制限するものなので、土地を選ぶ際には重要な指標です。
同じ広さの土地を購入しても容積率によって建てられる延べ床面積が変わってしまうので、容積率について良く理解しておくことが大切です。
そこで本記事では「容積率」について詳しく解説したいと思います。
また、解説に入る前にこれからマイホームを計画しているあなたに向けて、家づくりを失敗させないための1番重要なことを伝えさせて下さい。
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それではここから、詳しく解説をしていきます。
【本記事の監修者】 宅地建物取引士・ファイナンシャルプランナー 大学卒業後、東証一部上場大手保険代理店へ入社。その後、大手不動産ポータルサイト運営会社へ転職。ITベンチャー企業での経験を経て株式会社Azwayを創業。 「住まい」と「ライフスタイル」に特化したWEBサービスを手掛けている。
容積率とは?特徴をわかりやすく解説
容積率とは簡単にいうと、敷地面積に対して建築物の延床面積が何割を占めているか?を表すものです。
似ているものに建ぺい率がありますが、建ぺい率と容積率は違うものです。
詳しく見ていきましょう。
容積率ってなに?建ぺい率とは何が違う?
「建ぺい率」は敷地面積に対する建築面積の割合のことを指します。
一方「容積率」とは敷地面積に対する延べ床面積(すべての階の床面積を合計したもの)の割合のことをいいます。
容積率は以下の計算方法で求められます。
- 容積率(%)=延べ床面積(㎡)÷敷地面積(㎡)×100
したがって、敷地面積が100㎡、延べ床面積が60㎡であれば容積率は60%、延べ床面積が200㎡なら容積率は200%、といった具合になります。
延べ床面積とは建物の各階の床面積の合計で、床面積は外壁または柱の中心線で囲まれた壁芯面積のことをいいます。
尚、後ほど詳しく解説しますが、床がない吹き抜け部分や、ピロティ、玄関ポーチなどの壁で囲われていない部分は床面積に算入しません。
容積率とはどのようにして定められている?
容積率は行政庁の都市計画の中で用途地域ごとに制限割合が定められています。
容積率を設定する目的のひとつには、地域環境の維持や前面道路幅員との関係で建築物の日照や通風を確保することがあります。
国土交通省によると容積率制限の目的は、「地域で行われる各種の社会経済活動の総量を誘導することにより、建築物と道路等の公共施設とのバランスを確保することを目的として行われており、市街地環境の確保を図るものである」となっています。
簡単に言うと、容積率を制限することで建築できる建物の大きさを制限し、その地域に住める人口をコントロールして、下水や周辺道路などのインフラとのバランスを調整するということになります。
建物が建つとその床面積に応じて人やモノの動きが発生しますが、それらが道路その他の都市施設とのバランスを壊さないようにするためのものが容積率の制限なのです。
すなわち人口をコントロールするための基準ともいえます。
したがって容積率も建ぺい率と同様に、用途地域ごとに細かく指定されています。
容積率の調べ方と計算方法
容積率は建ぺい率と同様に、行政によってエリアごとに上限が指定されています。
不動産会社の物件チラシやインターネットの物件情報に記載されていることがほとんどですが、市役所の都市計画課に問い合わせて教えてもらうこともできます。
また行政によっては、インターネット上で建ぺい率や容積率が記載された都市計画図が公開されている場合もあります。
容積率の計算方法は前述した通り、容積率=延べ床面積÷敷地面積×100という簡単な計算で求めることができますが、延べ床面積の特例や「前面道路制限」といったルールがあるため、注意が必要です。
容積率緩和の特例と制限とは?
建築基準法上の容積率を算定する上で用いる延べ床面積の計算方法には、様々な特例が設けられています。
また容積率は、前面道路の幅などによって制限や緩和があります。
ここでは容積率算定上の特例や制限などについてご紹介します。
地下室
地下室がある場合、以下の条件を満たせば容積率の緩和を受けることができます。
- 建築物の地階
- 天井が地盤面からの高さ1m以下
- 住宅の用途に供する
この場合、延べ床面積の1/3を限度として床面積に算入しないことができます。
例えば容積率の緩和条件を満たす地階の面積が80㎡で、延べ床面積が240㎡の住宅の場合には、地階の80㎡は延べ床面積に算入しなくても良いので、この住宅の延べ床面積は「160㎡」になります。
ビルトインガレージ
駐車場や駐輪場の用途に供する施設を備えたビルトインガレージ付きの住宅の場合は、延べ床面積の1/5を限度として容積率を計算する際の床面積から除外することができます。
土地が100㎡で容積率が80%の場合には、通常なら延べ床面積80㎡までの家しか建てることができません。
しかしビルトインガレージ付きの場合には床面積の1/5を限度として除外されるので、20㎡のビルトインガレージを備えた100㎡の家を建てることができます。
小屋裏収納、ロフト
小屋裏収納やロフトなどを設ける場合には、直下階の床面積の1/2を限度として容積率を計算する上での床面積から除外されます。
ただし小屋裏収納の高さは1.4m以下になることが条件です。
吹き抜け
吹き抜けとは床がなく、上下階が開放的につながっているものを指しますが、吹き抜け部分は床面積に算入されません。
その他の特例
共同住宅(マンション等)の共用廊下、階段、エレベータホールなどは容積率算定上の延べ床面積に算入しなくても良いことになっています。
前面道路の幅員による容積率の限度
容積率は都市計画の指定によるもののほか、前面道路の最大の幅員が12m未満の場合にも制限がかかります。
道路の幅員に4/10(住居系用途地域内)又は6/10(その他の用途地域内)を乗じた割合以下でなければなりません。
したがって都市計画指定の容積率と、前面道路の幅員による容積率のうち厳しい方の容積率により制限されます。
たとえば指定容積率が200%で前面道路の幅員が4mの住居系用途地域の場合には、200%>4m×4/10=160%になるので、この場合の容積率は160%になります。
また敷地が2つ以上の道路に接する場合には、もっとも幅員の大きな道路を前面道路とします。
前面道路が幅員12m以上である場合は、指定容積率を容積率の上限とします。
特定道路を接続することによる緩和
大通りのような特定道路につながる道に接している場合も、緩和措置があります。
- 前面道路の幅員が6m以上12m未満
- 幅員15m以上の道路(特定道路といいます)から70m以内に敷地がある
大通り沿いは通常容積率が高いですが、そこから中に一本入っただけで前面道路による厳しい容積率になってしまうことを避けるための緩和措置です。
計算方法はやや複雑ですが、以下の図のようになります。
この図の場合を計算してみると以下のようになります。
まず、特定道路による緩和部分を計算します。
(12ー6m)×(70-35m)/70=3
この値をもとに、容積率を計算します。
(6m+3)×0.6=540%
この特定道路の緩和措置がなければ360%(前面道路6m×0.6)であったところ、540%まで大きくすることが可能となります。
敷地が容積制限の異なる地域・区域にわたる場合
容積率は土地ごとでなく地域・区域ごとに定められているため、敷地が容積率の異なる地域にまたがっている場合があります。
その場合には、それぞれの地域や区域に属している部分ごとの敷地で延べ床面積の上限を計算し、それらの延べ床面積の合計をその敷地の延べ床面積の上限とします。
計画道路に面する敷地の場合
敷地が都市計画において定められた計画道路に面している場合には、特定行政庁が交通上、安全上、防火及び衛生上支障がないと認めて許可した建築物については、その計画道路を前面道路とみなして容積率を計算することができます。
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容積率がオーバーしていると物件の価値はどうなる?
容積率はマイホームを建築する上で非常に重要なルールです。
しかし地価が高い都市部では、限られた土地を最大限に活用してできるだけ大きな家を建てたいというのは、誰もが思うことでしょう。
実際に中古住宅市場では、容積率をオーバーしている物件が少なくありません。
では容積率がオーバーしていると、物件の価値はどうなるのでしょうか?
違反建築と既存不適格物件の違い
容積率をオーバーした建築物は、違反建築または既存不適格物件として扱われます。
両者の違いは、建築した時点からその時の法令に照らして違反だったかどうかによる違いです。
- 違反建築物:建築した当時から違法
- 既存不適格物件:建築した当時は適法だったものの、建築後の法改正などによって現行の基準を満たさなくなってしまった建築物
現行の容積率は昭和46年の改正で全国に適用することになったものですが、その後も自動車車庫部分の容積率緩和、地階部分の容積率緩和などをはじめとして、様々な法改正が行われています。
したがって、建築当時は適法であったとしても、現行の基準を満たせなくなった物件は少なくありません。
これらの物件を既存不適格物件といい、違反建築とは明確に区分しています。
違反建築は住宅ローンの審査に通らない
違反建築物として扱われるようになった物件は、正式に中古住宅市場で流通させることが難しくなります。
そのため担保としての価値が低く、銀行も貸し倒れのリスクを回避するために違反建築物を担保にして融資を行うことを避けるようになります。
したがってこのような物件を購入しようとしても、住宅ローンの審査に通らなくなってしまいます。
すなわち、違反建築物を売りに出しても、現金で購入できる人を除いてなかなか買い手が見つかりません。
また銀行によっては、既存不適格物件の場合にも住宅ローンの対象外としている場合もあるので注意が必要です。
リフォームする際にも注意が必要
建築当時は適法であっても、リフォームや増改築を行うことで違反建築物になってしまうことが少なくありません。
現行の建築基準法では、防火地域・準防火地域以外の地域で床面積が10㎡以内の増築工事を行う場合には、建築確認申請手続きが不要になっています。
確認検査機関による審査・チェックを受ける必要がないため、建築主が知らぬままに違反建築になってしまうケースがあります。
このように審査がないからといって容積率をオーバーしてしまうことになれば、違反建築になります。
そのため、確認申請が不要となる増改築を行う際にも、法令違反にならない様に十分に注意することが大切です。
必ずしも容積率の上限まで建築できるとは限らない
敷地内の建物の形態を制限するものには、容積率以外にも様々なものがあります。
建ぺい率や道路斜線制限、隣地斜線制限、北側斜線制限などの高さ制限です。
したがって建物の高さにも制限を受けるので、指定容積率200%の敷地面積100㎡の土地に、必ずしも延べ床面積200㎡の家が建てられるとは限らないので注意が必要です。
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まとめ
本記事では容積率の計算方法や緩和規定などについて解説してきましたが、建物を建てるにあたっては他にも様々な建築制限を受けます。
これらの建築制限はとても重要なことなので、知らずに土地を購入していざマイホームを建てようとすると、自分の思い描いていた家が建てられなくなってしまうことにもなりかねません。
一方では様々な緩和規定があるので、これらを上手に活用することで、より満足度の高いマイホームを建てることが可能になります。
容積率などの建築制限を正しく理解して、理想の住まいづくりに役立てるようにしてください。
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